2013 Fiscal Year Research-status Report
抗がん活性を有するアステロラウリン類の合成とその応用に関する研究
Project/Area Number |
23790018
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
渡邉 一弘 東北薬科大学, 薬学部, 講師 (10382673)
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Keywords | アステロラウリン類 / 抗がん活性 / 全合成 / 生物活性相関研究 / 環拡大反応 |
Research Abstract |
本研究課題では、抗炎症作用を有する新しいがん治療薬として期待されており、新規キセニチン骨格を有するアステロラウリン A、B および D のエナンチオ選択的な合成法を確立し、さらに、これらの合成法を応用しヒト大腸がんに対して強力な生物活性を有する新規トリシクロ[4.3.1.0] デカン骨格を有するプルミスクレイン A の全合成へと発展させ、その絶対立体配置の決定、並びに構造活性相関研究への発展を目的として行った。 平成25年度は、本研究課題にも関係する全合成および新規反応の技能および知識の取得を目指し、平成25年4月から平成26年3月までの1年間、米国オレゴン州立大学化学科 Rich G. Carter 研究室へ海外研修留学を行った。Carter 研究室では、アステロラウリン類の基本骨格の構築にも応用可能な新しいマクロ環化合物の構築法および全合成研究を行っており、本研究課題を遂行する上で重要な知見および技術を習得することができた。すなわち、新規合成した種々のプロパルギルベンゾエート類縁体に対して銀(I) 触媒を用いた閉環反応を行うことにより効率的に環状化合物を合成することが可能である。なお、これらの研究業績は、アメリカ化学会の 68th ACS Northwest Regional Meeting (NORM13, July 21-24, 2013, Corvallis, OR、ポスター発表) および 247th ACS National Meeting & Exposition (March 16-20, 2014, Dallas, TX、口頭発表) において研究成果の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記、研究実績の概要でも述べたが、昨年度は本研究課題に関係する知識および技能の習得を目的として、米国オレゴン州立大学化学科 Rich G. Carter 研究室へ海外研修留学を行っており本研究課題であるアステロラウリン類の直接的な合成研究は行っておらず、現在までの進捗状況に関しては遅れている。しかしながら、平成24年度でアステロラウリン類の合成法の課題であった環構築法において、本海外研修留学により新しいマクロ環の合成法に関する知見が得られたことから、今後、本研究課題へ応用することにより研究が促進することが期待される。 なお、本研究課題は、平成26年3月19日に補助事業期間の延長が承認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究目的に大きな変更はないが、実際の研究計画に関しては多少の合成計画の変更を行う予定である。すなわち、基本骨格であるピラン環およびそれに隣接する9員環骨格の構築法に関して、海外留学研修において新しく習得した銀 (I) 触媒による環構築法をうまく取り入れることにより効率的に合成を進めていく予定である。 また、平成26年度には本研究を援助してくれる学部学生および大学院生は残念ながらいないが、講義等の学務が一昨年度より多少軽減されたことにより、申請者自身が今まで以上に本研究により多くの時間をかけることが可能であると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年4月から平成26年3月まで、米国オレゴン州立大学化学科 Rich G. Carter 教授の研究室に留学し、アステロラウリン D の絶縁体合成を視野に入れた、第2世代の合成法の開発およびアステロラウリン A の合成法への応用を行う予定であったが、新しい全合成の手法が得られたため実際の合成計画を変更し、次年度に全合成を展開することにしたため、未使用額が生じた。 このため、次年度に海外留学で取得した新しい合成法を用いてアステロラウリン類の合成を展開していくのに必要な、試薬、溶媒、ガラス器具などの消耗品と、研究成果の取りまとめの経費として未使用額を充てる予定である。
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