2012 Fiscal Year Annual Research Report
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に有効な微生物由来耐性克服剤の創製
Project/Area Number |
23790020
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小山 信裕 北里大学, 薬学部, 助教 (60439156)
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Keywords | 感染症 / MRSA / 天然物 / ケミカルバイオロジー / 結合タンパク質 |
Research Abstract |
近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染の原因菌として社会的な問題となっており、耐性菌に有効な新たな薬剤の開拓が求められている。このような背景のもと、申請者のグループでは、MRSA に対して特異的な活性を示す新しい機能分子を探索し、さらには発見した機能分子の作用機序を解明することを目的に研究を進めている。新しい機能分子の発見:①放線菌Streptomyces sp. 6-31株が生産する albocylineを発見した。本物質は、非糖化の14 員環マクロライド様構造を有し、黄色ブドウ球菌やその耐性菌である MRSA に対して非常に選択的な抗菌活性を示す。さらに、ラベル体を用いた取り込み実験から、albocyclineは細胞壁 peptidoglycan の生合成のみを阻害し、その他の高分子画分(DNA, RNAやタンパク質)には影響しないことを明らかとした。②放線菌 Streptomyces sp. K04-0144 株の培養液を精査することで、リン脂質を基本構造とするnosokophic acidを新たに発見した。これまで発見したimipenemの抗MRSA活性増強剤の中で最も強い活性を示すcyslabdanとほぼ同等の活性を有することが明らかとなった(500倍以上にも活性を増強)。作用機序の解析:昨年度に同定した結合タンパク質FemAにもとづき、cyslabdanがその酵素活性に影響するか解析した(HG Sahl, University of Bonn との共同研究)。その結果、cyslabdanは、0.8 mMと高濃度の条件下において、FemAによるmonoglycyl lipid IIからtriglycyl lipid IIへの変換のみを特異的に阻害し、関連酵素FemXやFemBには影響しないことを突き止めた。
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