2011 Fiscal Year Research-status Report
VDRリガンド結合領域との相互作用を制御する作用選択薬の創製
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23790021
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 助教 (50386611)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 国際情報交流(米国) / 合成化学 / 生理化学 / 有機化学 / 薬学 / ビタミンD |
Research Abstract |
本年度はセコステロイドCD環の化学修飾として、まずこれまでに合成を達成した15α-ヒドロキシ体の合成中間体を基に他の15位置換誘導体を合成した。誘導体合成はA環前駆体とCD環前駆体を別途合成し、それらを結合し収束的に行った。15α-ヒドロキシ体の合成におけるCD環前駆体の合成に従い、ビタミンD2より誘導したtrans-ヒドリンダン骨格を有する化合物を出発物質とし、アルケニルエポキシド経由で活性型ビタミンD3側鎖に相当するユニットの銅試薬を用いたSN2’型の炭素‐炭素結合形成反応により重要な合成中間体へと導いた。本反応により立体選択的な20位の側鎖導入と共に、エポキシドの開環に伴い15α-水酸基が得られた。さらに種々の反応を経て、目的のCD環前駆体を合成した。またC16-17位間アルケンの立体選択的な水素添加反応を行なわないことで、近年抗がん活性で注目される16-ene型誘導体を合成した。合成では種々の誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートを確立するために合成効率についても探求し、立体選択性、収率などにおける反応条件の最適化を行った。得られた誘導体についてHPLC精製後、 VDR結合親和性や骨芽細胞へのオステオカルシン転写活性等の各種生物活性評価を行った。またVDR-リガンド複合体のX線共結晶構造解析を行い、それら誘導体における構造と活性の関係をVDR-リガンド複合体のレベルで考察した。さらに1α,25(OH)2D3を代謝不活性化するCYP24A1による各誘導体の代謝についても同時に検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セコステロイドCD環の化学修飾として、A環前駆体とCD環前駆体を別途合成しそれらを結合する収束的な合成法により、新しい15位置換誘導体を合成を達成した。また途中に用いる反応を変えることで、近年抗がん活性で注目される別の誘導体も合成することができた。本合成で確立した合成ルートは種々の誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートであり、合成効率が高く、さらに新しい誘導体合成につなげることが可能である。また、得られた誘導体の各種生物活性評価、VDR-リガンド複合体のX線共結晶構造解析を行うことができ、それら誘導体における構造と活性の関係をVDR-リガンド複合体のレベルで考察することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に得られた結果を基にして、引き続き、17位側鎖の短絡化などCD環の他部位修飾との組合せに着手する。合成した各種CD環部位はA環部位と組合せ、さらなる特性の増強を目的とした修飾のハイブリッド効果について検討を行う。ハイブリッド化については、これまでに報告されているビタミンD誘導体において、最も高活性なA環前駆体とCD環前駆体が最良の組合せとは限らないことを見出しており、特に強力な活性や作用分離能を有するものを基礎とし、可能な組合せについて誘導体を網羅的に合成し、それぞれについて生物活性評価、X線共結晶構造解析、代謝試験を行い、目的の活性プロファイルに対し最も理想的な組合せを見出し 、VDRモジュレーターの候補化合物を獲得することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度も多くの誘導体合成を目的とし、原料合成に必要な有機合成用試薬と有機溶媒、また合成した化合物の分離精製に必要なシリカゲル等、主に消耗品について研究費を使用する。また広く意見交換をし、有機合成化学及びビタミンD研究の最前線を知るため、国内外の学会で得られた成果を発表予定である。 所属研究機関(帝京大学薬学部)は平成23年度後半から平成24年度にかけてキャンパス移転を行っているため、平成23年度使用予定の研究費の一部を平成24年度に繰り越した。
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