2012 Fiscal Year Annual Research Report
VDRリガンド結合領域との相互作用を制御する作用選択薬の創製
Project/Area Number |
23790021
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高野 真史 帝京大学, 薬学部, 助教 (50386611)
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Keywords | ビタミンD / 合成化学 / 生理活性 / 有機化学 / 薬学 / 国際情報交換(米国) |
Research Abstract |
本年度は、ビタミンD誘導体における構造修飾のハイブリッド効果について考察するために、A環部位の化学修飾について、特に2位置換基の代謝について検討を行った。VDR結合親和性の向上や各種生物活性の変化に効果的な構造修飾モチーフである2α-ヒドロキシプロポキシ基はCYP24A1に対し高い代謝抵抗性を示すが、CYP3A4により切断されることが分かった。そこで代謝物候補化合物を化学合成し、それらを比較同定した。この2位置換誘導体の代謝過程の解明は、医薬品リード化合物獲得を目的とする今後のリガンドデザインに大きく寄与するものである。 研究期間全体を通じて、CD環を化学修飾したビタミンD誘導体として、A環前駆体とCD環前駆体をそれぞれ合成しそれらを結合する収束的な合成法により、いくつかの新しい15位置換誘導体の合成を達成した。また合成ルートの途中に用いる反応を変えることで、近年抗がん活性で注目される別の誘導体も合成することができた。さらに15位アルキル置換誘導体についてもまだ限定された構造ではあるものの、その合成を達成した。本合成で確立した合成ルートは種々の誘導体合成に適用可能な汎用性の高いルートであり、合成効率が高く、今後の新しい誘導体合成につなげることが可能である。得られた誘導体は、それぞれVDR結合親和性や骨芽細胞へのオステオカルシン転写活性等の各種生物活性評価、VDR-リガンド複合体のX線共結晶構造解析を行うことができ、それら誘導体における構造と活性の関係をVDR-リガンド複合体のレベルで考察することができた。ビタミンD誘導体の15位置換についてはこれまでに報告例がなく、本研究課題の成果は、ビタミンD誘導体の新しい修飾部位として15位置換の可能性を提案し、VDRモジュレーターの候補化合物獲得に貢献するものである。
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