2011 Fiscal Year Research-status Report
新規な機能性発現とリサイクルを指向したカルボラン架橋型重金属触媒の創製
Project/Area Number |
23790034
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
山本 博文 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (70461366)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | カルバボラン / 不均一系触媒 / カルバボラニル水銀クロライド / 銀トリフラート / トリエトキシシラン |
Research Abstract |
今回の研究課題は,カルバボランの分子特性に着目することで,m-カラバボランを架橋分子とした不均一系の新規水銀触媒を開発し,藻類成長因子サルーシンの誘導体合成に利用することを目的とした.平成23年度(~平成24年3月31日)は,徹底してカルボラン水銀クロライドのポリマー化を検討することで,回収して再利用可能な粒子サイズの触媒を調製することに取り組んだ.先ず,カルバボラン炭素上をt-ブチルリチウムを用いてジアニオン化し,トリメトキシシリルプロピルヨウ素と塩化水銀を順次加えて,ポリマー前駆体に相当するモノマーを合成した.そして,種々の酸存在下,ポリマー化することで,様々な粒子サイズと重合強度を有する不均一系触媒を調製した.その後,触媒活性と再利用効率を総括的に評価し,5当量のトリエトキシシラン(TEOS)存在下,2N塩酸を用いて5日間,重合する条件が最適であると判断した.本手法により調製した不均一系触媒は,20回以上の反応再利用が可能であり,触媒活性の低下時は,再度2N塩酸と銀トリフラートを用いて再活性化できることから,半永久的な使用が期待される.今後,詳細な確認実験は必要であるが,金属反応剤として初めての再活性化を可能にした不均一系金属触媒の創製であると考えている.本成果は,需要多過により深刻化する金属の枯渇問題を解決する新たな方策の一つとして極めて重要な知見である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回は,平成23年度の研究計画で立案した二つの目標((1)リサイクル可能な不均一系カルバボラン水銀触媒の調製,(2)カルボランのジアニオン化からポリマー化までのワンポット調製法の確立)を共にどうにか達成することができた.さらに,調製した不均一系触媒の反応性を確認する過程で,反応性が低下した触媒を再度活性化できることも新たに見出すことができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに研究を遂行する.平成24年度は,23年度に調製した不均一系カルボラン触媒の基質適用性(汎用性)を確認するため, 1,3-ジエン化合物を反応基質としたアリルアミノ化反応やエーテル環化反応,ラクトン化反応,フリーデル・クラフツ型の炭素-炭素結合形成反応に触媒を利用する.さらに,藻類成長因子サルーシンの誘導体合成を見据えて,ジエン・エン・カルボン酸を連結した反応基質を独自にデザインし,生合成類似機構によるタンデム環化反応を試みる.また,これら一連の反応は,使用する触媒の回収率や再利用効率についても確認を行う.平成25年度は,不均一系カルボラン触媒を用いたタンデム環化反応を合成研究に応用し,サルーシンの蛍光標識体合成を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記したように,平成24年度は,不均一系カルボラン触媒を種々の1,3-ジエン環化反応に用いることで,触媒の汎用性を確認していく.そのため,研究費の全額を,反応基質となる1,3-ジエン化合物の合成に必要な基剤や反応試薬の購入に使用させて頂きたい.
|
Research Products
(4 results)