2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピロボラートの分子技術を活用した水溶性超分子ポリマーの開発,医療への応用
Project/Area Number |
23790035
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
川幡 正俊 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00441593)
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Keywords | 分子認識 / 構造・機能材料 / 自己組織化 / 合成化学 |
Research Abstract |
本計画は超分子ポリマーを利用した医療材料を含めた新規材料開発の一環として,既に報告している脂溶性超分子ポリマー「ツインボウル」に代わる,水溶性超分子ポリマー「クラウンエーテル様スピロボラートアニオンホスト」の合成と金属錯体,アンモニウム分子,との包接化合物の分子技術評価を行い,従来のクラウンエーテル,クリブタンドより強固なホスト-ゲスト複合体を形成させ,新規「イオノフォア」「キャリア」としてDDSへ展開することを目的とし,研究を行った. クラウンエーテル様スピロボラートアニオンの合成について市販されている3,4位がベンジル基で保護されたフェノールとトシル基で保護されたテトラエチレングリコール保護体からビスカテコール前駆体を得,脱保護によりカテコールユニットを2つ持つテトラオール体へと誘導した.このテトラオール体と適切な金属水酸化物MOH(M=Na or K)を混ぜ,ポリオキシエチレン鎖の酸素原子の金属M(テンプレート)への配位により自己組織化前駆体を作り,そこにホウ酸を加えることで自発的に環化したクラウンエーテル様スピロボラート化合物を得ることを試みたが目的化合物は得られなかった.これはテトラオール体のポリオキシエチレン鎖の鎖長が環化のしやすさに影響を与えるためと考え,鎖長の異なったポリエチレングリコールの水酸基をトシル基で保護した化合物を合成した.また,テンプレートとして金属水酸化物以外に有機カチオンであるピリジニウムを用いての環化も検討したが目的の環化体を得るには達しなかったが,最終段階での環化反応にはふさわしいテンプレートカチオン分子の共存が大変重要であるという知見を得た.
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