2012 Fiscal Year Research-status Report
神経幹細胞分化制御物質ライブラリーの構築と機能解明
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23790036
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
久保 美和 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (00330754)
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Keywords | 天然物化学 / PC12 / MEB5 / 神経突起伸展促進活性 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
当該年度では,所有する植物抽出物ライブラリーのスクリーニングを実施した。まずは,PC12細胞を用いて約250種類の植物抽出物ライブラリーのうち,約80種類の植物のスクリーニングを行った。17種類の植物抽出物に活性が認められた。センブリ,テンナンショウ,トベラ科植物,オガサワラグミ,エゴノキ,クスノキ,ヒカゲビコはNGF非存在下で活性を示し,センブリ,テンナンショウ,ヤマブシタケ,フクギ,コブシ,モンパノキ,ヤブコウジ,イボタクサギ,ホソバワダン,サカキカズラ,ヤクモソウ,中国産キノコPhellinus ribisの抽出物はNGF存在下で活性を示した。中でも,センブリは,NGF非存在下,存在下共に強力な分化誘導活性,突起伸展促進活性を示した。活性を示した植物抽出物について,神経幹細胞株MEB5細胞を用いてスクリーニングを行った。MEB5細胞を用いた植物抽出物のスクリーニングには,溶解に使用する溶媒,細胞密度など少し条件検討の余地があるが,PC12細胞で強力な活性が認められたセンブリに神経新生促進活性が認められた。センブリに含まれる活性物質の探索のため,精製を行っているが,未だ活性物質の単離には至っていない。また,ヤクモソウからはスピロ構造を有する新規ノルトリテルペン,中国産キノコPhellinus ribisからは,新規ベンゾフラン誘導体を見出し,それらに1~30μMの濃度で活性が認められた。 また,神経栄養因子様活性ライブラリー中の1つであるタラウミジンのメカニズム解析をPC12細胞を用いて行った。タラウミジン処理後5分後にMAPKのリン酸化,TrkAのリン酸化が亢進されることがわかった。各種阻害実験の結果から,タラウミジンはTrkAの自己リン酸化を誘導し,チロシンフォスファターゼを阻害することにより,TrkA自己リン酸化を亢進させ,活性を示している可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物抽出物ライブラリーのMEB5細胞を用いたスクリーニングに関して,純物質を用いたスクリーニングを適用して実施していたが,使用プレートサイズ,抽出物溶解時に使用する溶媒など培養条件の少しの違いにより,細胞生育状態に大きく影響することがわかり,スクリーニング条件の改良に少し手間取り,神経新生促進化合物ライブラリーの構築が遅れているが,おおむね順調に進展している,
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Strategy for Future Research Activity |
神経細胞新生ライブラリーの構築:改良したスクリーニング方法に従って,植物抽出ライブラリーを引き続きスクリーニングを実施する。活性を示した植物,特にセンブリの活性成分の化学構造を決定する。 誘導体合成:見出した活性物質の誘導体を合成する。コンビナトリアル合成を活用するにあったて,固相担体の選択,リンカーの検討を行い,最適な条件を見出し,各種活性物質の誘導体を合成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,スクリーニング関係用試薬,器具,合成用試薬,器具,細胞などに使用する計画である。
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Research Products
(15 results)