2011 Fiscal Year Research-status Report
細胞内動態素過程の定量解析に基づいたin vivo siRNA送達システムの創製
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23790038
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
林 泰弘 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 特任助教 (30548178)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | DDS / siRNA / pDNA / 肝臓 |
Research Abstract |
平成23年度はオクタアルギニン(R8)とエンドソーム脱出素子(GALA)を組み合わせたナノ粒子(R8-GALA-MEND)の作成を行った。その結果、マウス肝臓にpDNA、siRNAを送達可能なキャリアの構築に成功した[Khalil Ikramy, Hayashi Y et al. J Control Release. 156(3):374-80 (2011), Hayashi Y et al., Int J Pharm. 419(1-2):308-13 (2011)]。次に、さらに高性能なsiRNAデリバリーシステムを構築するために、in vitro、in vivo間のsiRNAの活性の違いがどの素過程に起因するのかについての解析を行った。初めにin vitroとin vivo間の律速段階としてIntracellular Pharamacokinetics (PK)、Intracellular Pharmacodynamics (PD)、の2つの要因に着目し、細胞内に存在するsiRNA分子数と、siRNAのサイレンシング活性における関連性をin vitro系とin vivo系の両方で比較した。その結果、PK、PDの両者ともin vitroとin vivoで同等であることが明らかとなった。次にsiRNAの細胞・肝臓への集積率に着目したところ、in vivoではin vitroよりも投与量を下げるに従って集積量が著しく低下することを発見した。従って、in vitroとin vivo間の活性の大きな違いを決定づけている素過程は初期の段階の取り込み過程に存在していることが明らかとなった(Hayashi Y et al. (Submitted))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成23年度はin vivoにおける核酸デリバリーシステムを構築した。そしてその性能をさらに上げるために、律速段階がどこにあるのかについて明らかにしてきた。今年度発見した現象はDDS研究者にとって非常に盲点であり、今後更なる高性能遺伝子キャリアを作成する大きなヒントとなる可能性が高い。一方、本年度は平成24年度の研究計画も前倒しで行うことができているので、非常に研究がうまく進んでいると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度で得られた知見をもとにして、現在の投与量の1/10程度で同程度の活性が得られる核酸デリバリーシステムの構築に取り組んでいく。そして、構築されたデリバリーシステムを用いた治療応用として、pDNAデリバリーによる肝炎予防・治療効果の検討を、siRNAデリバリーによる2型糖尿病の病態改善効果の検討を実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の残金(28,893円)は平成23年度に実施した細胞実験関連試薬の支払いに使用する。
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