2011 Fiscal Year Research-status Report
新規表面重合法によるミクロカプセル調製法の確立と刺激応答ミクロカプセルの開発
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23790040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80400266)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 機能性カプセル / 刺激応答カプセル / 機能性薄膜 / DDS |
Research Abstract |
ミクロカプセルとは液体や固体などを内包した微小な容器であり、内容物の安定性向上、外部環境からの保護、放出制御、反応成分の隔離などの利点があるため、医療、食品などさまざまな分野で利用されている。カプセルの調製には、それぞれの方法において封入できる物質やカプセル膜材料に制限があるため更に優れた方法の確立が求められている。そこで、本研究では微粒子表面で高分子の重合反応を進行させ、その後微粒子を溶解除去することでミクロカプセルを調製する方法を検討した。この方法の特徴は、LBL法を発展させたものであり、作業工程が多い、内包物の保持能力が小さい、カプセル強度が弱いといったLBL法の欠点を改善することができると考えられる。さらに、高分子合成反応は多岐にわたり、それに伴いカプセル膜材料とすることが可能な分子種も増加するので、これまでカプセル膜材料として使用できなかった機能性分子のカプセル膜への導入が容易になり新規機能性カプセルの開発が期待できる。 表面重合によるカプセル調製のために、はじめに調製が容易であり形成時に内部に物質を取り込む性質をもつ CaCO3粒子(CaCO3粒子はEDTAで溶解する)を用いて、一般的な水溶液中でのラジカル重合反応から検討を行った。一般的に重合反応に用いられている分子についてモノマー、架橋剤、重合開始剤の種類および各濃度比、重合温度、凝集しない粒子濃度などカプセルが形成する条件を調査した結果、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルをモノマーとして使用することで良好なカプセルの形成を確認した。これはメタクリル酸メチルがCaCO3粒子に親和性を持つためであると考えられる。また、調製したカプセルについての基本的な物性を明らかにするため、蛍光顕微鏡および原子間力顕微鏡による観察、ゼータ電位測定、紫外可視分光法、赤外分光法などによる測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸メチルについてカプセルの調製と物性評価を行ったが、それ以外のモノマーを使用した場合について良好なカプセルがいまだ得られていいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
未修飾の粒子を用いた場合にカプセルを形成しないモノマー分子について、粒子表面に重合反応の起点を設ける(メタクリル酸をペンダントした高分子を粒子に被覆する方法や、シランカップリング剤によりシリカ微粒表面を修飾使用する)などの方法によりカプセル形成が進行する条件を検討する。また、酵素などの生体試料のカプセル化およびフェニルボロン酸(糖)、フェロセン(電気)、スピロピラン(光)、クラウンエーテル(イオン)、アゾ色素(pH)などの分子と共重合をおこない機能性カプセルを調製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していたカプセルの機能化を次年度に延期することによって生じたものであり、延期した研究に必要な経費として平成24年度請求額とあわせて使用する予定である。
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