2012 Fiscal Year Annual Research Report
二成分制御系における連鎖的シグナル伝達機構の構造生物学的解明
Project/Area Number |
23790042
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 卓見 東京大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (20451859)
|
Keywords | NMR / 膜蛋白質 / 転移交差飽和法 / 過渡的複合体 / ニ成分制御系 |
Research Abstract |
昨年度に確立した区分標識法を用いて、変異体によるP3-5ドメインの側鎖メチルシグナルの帰属を試みた。全長CheAのP3-P5ドメイン側鎖メチル基選択的標識体と、切り出したP3-P5ドメイン(残基番号:260-654)の1H-13C HMQCスペクトルを比較したところ、両者でわずかに違いが観測されたが、特にAla領域では良く重なったため、P3-5ドメインの大部分の帰属をそのまま全長に移すことが可能であると考えた。そこで、試料調製の簡便さを考慮し、まず切り出したP3-P5ドメインに対してIle, Ala, Met残基に1つずつ変異を導入した変異体を作成し、消失したシグナルを変異導入残基として帰属した。次いで、その結果を全長に移すこととした。 P3, P4, P5の3つのドメインが比較的構造上独立しているため、3つのドメイン同時に異なるアミノ酸に変異を導入することが可能であると考えて、1-3残基同時に変異を導入した各種変異体を調製した。現在までにIle, Met, Ala 71残基中63残基に変異を導入した、27変異体のスペクトルの取得を完了し、Ile 28残基中14残基、Met 13残基中3残基、Ala 残基31残基中12残基の帰属に成功した。帰属済みの残基の中には、A423, A434, A462, M475などのATP結合部位近傍の残基も含まれており、これらの残基は今後ATP結合部位周辺の構造変化を調べるプローブとなることが期待される。 また、交差飽和法における強度減少率と距離を正確に対応することを可能とする、定量的交差飽和法を開発した。本手法をCheA-CheYの相互作用に適用することにより、複合体中におけるP1ドメインとCheYの結合・解離の動的平衡を解明することが可能となることが期待される。
|
Research Products
(3 results)