2011 Fiscal Year Research-status Report
一分子蛍光測定による膜受容体の構造変化・リガンド結合解析
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23790044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 義明 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60402799)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 膜受容体 / GPCR / ナノディスク / 無細胞合成 / 一分子蛍光 |
Research Abstract |
創薬の重要なターゲット分子であるGPCR挙動の一分子レベルでの計測基盤技術の確立を目指して研究を開始した。GPCRを組み込むのに用いる脂質ナノディスクの調製を行った。pET28a/MSP1D1遺伝子を大腸菌BL-21(DE3)pLysS株へ導入し発現を試みたが全く発現しなかった。そこで、菌株をより高発現が期待できるBL-21 Gold(DE3)に変更し、遺伝子導入およびIPTG添加によるタンパク質発現を行ったところ、MSPタンパク質の発現が見られた。Niカラム精製を行い高純度のタンパク質溶液を得た。菌液1Lあたり30mg以上の精製タンパク質を回収可能であることがわかった。昆虫由来の無細胞合成系で合成したbeta2アドレナリン受容体がリガンド結合能を持つか確認するために、リポソーム共存下で合成した受容体への蛍光リガンドCA200689の特異的結合を全反射蛍光顕微鏡で観察した。蛍光リガンド溶液の容器への吸着を抑える工夫を行った後、リポソーム存在下で受容体の合成を行い蛍光リガンドの結合を評価したが、mRNA非添加のコントロールにおける非特異的吸着と比較して、有意なリガンドの結合は見られなかった。CA200689の膜への非特異的吸着は比較的多く見られため、より吸着の少ないAlexa647-NAの合成を行った。エタノール中でノルアアドレナリンとAlexa647-SEを低濃度(1mg/mL)で一日反応させる事により目的物を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ナノディスクの調製、蛍光リガンドの調製は予定通り達成できたものの、無細胞合成で合成した受容体がリガンド結合能を持たないことが明らかになったため、当初の計画であった、正しくフォールドした受容体の調製に関して現段階で未達成である。
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Strategy for Future Research Activity |
正しくフォールドした受容体を得られておらず、今後の展開で多くの検討が必要な可能性もあるため、次年度使用の研究費が生じている状況である。引き続き無細胞合成を行い、リガンド結合能を持つ受容体の合成条件を探索する。Gタンパク質の存在がシグナリングに必須である可能性もあるため、Gタンパク質alpha,beta gammaサブユニットの遺伝子を入手し、無細胞合成で共存させた時に受容体リガンド結合能が見られるか検討する。また、受容体を発現している生細胞でのリガンド結合の全反射蛍光顕微鏡での観察実験も平行して行う。いずれかの実験系で、リガンド結合ー解離のキネティクス測定を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度は受容体の合成が予定通り進行しなかったため、顕微鏡観察実験用試薬に相当する残額が発生した。上述の研究推進方策に従い、H23年度とH24年度の研究費を合わせて、無細胞合成、蛍光リガンド合成等の関連試薬、細胞培養関連試薬、顕微鏡関連消耗品等の購入および、成果発表を行う。
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