2011 Fiscal Year Research-status Report
新規抗ガン剤開発に向けたヘパラナーゼの構造基盤の解明
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23790048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田畑 香織 (佐々木 香織) 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90464388)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヘパラナーゼ / ガン転移 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
ヘパラナーゼはヘパラン硫酸を特異的に分解するエンドグリコシダーゼの一つで、ガンの転移や浸潤に関与することが明らかとなっているが、立体構造に関しては未だ解明されていない。そこで、ヘパラナーゼの立体構造情報を決定し、ヘパラナーゼの酵素反応メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的として研究を開始した。まず、ラットヘパラナーゼ全長をコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌発現用のプラスミドpET15bに組み込み発現系を構築した。大腸菌BL21(DE3)を用いて発現を試みたが封入体に多く発現していたため、宿主(大腸菌rosetta2(DE3)あるいはrosetta-gami2(DE3))や培養温度、コールドショックベクター等の検討を行ったが、改善しなかった。また、pFastBac1に組み込んだものをトランスポジションしてバクミドを作製し、カイコ幼虫での発現も検討したが、SDS-PAGEで目的のバンドが見られなかった。ヘパラナーゼはプロセッシングを受け、8kDaと50kDaのヘテロダイマーを形成して活性を示すことから、それぞれのドメインをリンカーでつないだ発現系の作製を行ったところ、少量ではあるが可溶性として調製することに成功した。ウエスタンブロッティングにより、目的のタンパク質であることも確認済みである。巻き戻し操作を必要としない可溶性画分として目的のタンパク質を調製できたことは、今後の機能および構造解析にとって大きな一歩であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1) 最初のステップである「タンパク質の発現」がなかなか上手くいかず、様々な発現系を作製するのに時間がかかった。(2) 出産のため、10月13日以降産前休暇を取得したので、実験期間が半年間しかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、前年度に検討したタンパク質の発現条件について再現性を確認し、大量に調製する。もし、予想より収量が低ければ、封入体の巻き戻し反応や、動物細胞であるHEK293細胞を用いた発現を検討する。また、ラット以外のヘパラナーゼ(例えばヒトやマウス等)を用いることも考えている。ヘパラナーゼが大量に調製にできたら、精製し、結晶化条件を検討する。また、モノクローナル抗体を作製し、抗体が得られればヘパラナーゼとの複合体についても結晶化条件を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、得られたヘパラナーゼを精製するために、イオン交換カラム、ゲルろ過カラムを使用する。また、結晶化条件検討のため、結晶化試薬および結晶化用プレートを購入する。さらに、モノクローナル抗体の作製のため、抗体産生細胞培養用の培地やプレート等を購入する。
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