2012 Fiscal Year Research-status Report
新規抗ガン剤開発に向けたヘパラナーゼの構造基盤の解明
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23790048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田畑 香織(佐々木香織) 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (90464388)
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Keywords | ヘパラナーゼ / ガン転移 / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
ヘパラナーゼはヘパラン硫酸を特異的に分解するエンドグリコシダーゼの一つで、ガンの転移や浸潤に関与することが明らかとなり、様々な生化学的研究が進んでいるが、立体構造に関しては未だ解明されていない。そこで、ヘパラナーゼの立体構造を決定し、ヘパラナーゼの酵素反応メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目的として研究を開始した。 昨年度、pETベクターを用いた大腸菌での発現系を構築し、目的のタンパク質を可溶性画分として得ることに成功したが、結晶化条件を検討するには十分な量が得られなかった。そこで、本年度は不溶性画分の巻き戻しを行うため、界面活性剤の種類や濃度の検討を行った。その結果、SDS-PAGEやウエスタンブロッティングにより可溶性画分に目的のタンパク質のバンドを確認することができた。 また、リンカーの長さやリンカーを構成するアミノ酸の種類を変えたコンストラクトやpColdベクターを用いた発現系を検討したところ、pColdベクターの系では巻き戻し操作を必要としない可溶性画分に目的のタンパク質が発現する条件を見いだした。さらに、p-ニトロフェニルグルクロナイドを基質としてβ-グルクロニダーゼ活性を測定したところ、調製した組換えタンパク質は酵素活性を有していることが明らかとなった。 現在、得られた組換えタンパク質を精製し、結晶化条件を検討中である。 また、他のヘパラナーゼ型のβ-グルクロニダーゼについても組換えタンパク質の発現系を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
結晶化やモノクローナル抗体作製に必要な組換えタンパク質を大腸菌を用いた発現系で短時間で大量に、また活性を持った状態での調製に成功した。 また、他のヘパラナーゼ型のβ-グルクロニダーゼについても発現系の構築に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、得られているラットヘパラナーゼに加え、他のヘパラナーゼ型のβ-グルクロニダーゼについても同様に結晶化条件の検討を行う。 また、モノクローナル抗体が得られれば、ヘパラナーゼとの複合体についても結晶化条件を検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットヘパラナーゼ以外のヘパラナーゼ型β-グルクロニダーゼについても、組換えタンパク質を調製し、精製および結晶化を行うので、精製に必要なイオン交換カラムやゲルろ過カラムを購入する。また、結晶化条件検討に必要な結晶化試薬および結晶化用プレートを購入する。
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