2011 Fiscal Year Research-status Report
生体電子伝達体をプローブとするミトコンドリア機能可視化法の開発
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23790050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兵藤 文紀 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 准教授 (10380693)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | イメージング / レドックス / ミトコンドリア |
Research Abstract |
平成23年度はユビキノンプローブのin vitro有用性の基盤情報の構築と評価を主なテーマとして研究を進めた。具体的には、まず以前の研究においてユビキノンに生体内の電子伝達物質であるNADHを混合するとユビキノンラジカルを形成することが明らかとなっていた。そこでNADHとの反応によるラジカル生成の濃度依存性を検討した。その結果ユビセミキノンはNADHの濃度依存的に上昇し、CoQとNADHの比率が1:2の時に最大となることが明らかとなった。またNADHの比率を固定し、ユビキノンの濃度を変えると、ユビキノンの濃度依存的にユビセミキノンが生成されることがわかった。一方ユビキノンはミトコンドリア電子伝達系に関与する重要な分子であり、側鎖の異なるユビキノンも過去の報告において電子伝達を効率的に行うことが示唆されている。そこで本研究で作製したユビセミキノンがミトコンドリアとの反応を介するかどうかを検討した。ユビセミキノンをラット肝臓より抽出したミトコンドリア分画と反応させたところ、ユビセミキノンは時間ととともに消失した。またミトコンドリアとの反応性はミトコンドリア分画のタンパク量に依存していることが明らかとなり、さらにこのミトコンドリアを熱処理で不活化すると反応は止まることから、ユビセミキノンがミトコンドリアとのレドックス反応(酸化還元反応)によりラジカルを消失することが明らかとなった。またCoQ0から生成するユビセミキノンについてミトコンドリアのコンプレックスIIからの電子の授受の可能性を調べるために、CoQdecylを用いたコンプレックスIIの活性評価をCoQ0を用いて行ったところ、CoQ0はCoQdecylよりも速やかに電子を授受することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成23年度についてはユビキノンプローブの基礎情報の取得のみを行う予定であったが、濃度依存性試験やミトコンドリアとの反応性試験を速やかに終えることができたため、平成24年度に予定していたOMRIを用いたファントムレベルでの可視化についての検討を昨年度末より前倒しで行っている。本年度は予定通り疾患モデル動物を用いた機能イメージングへと移行し、同時に本プローブを用いた新たな活用法も模索する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は予定通り、ユビキノンプローブのOMRIを用いたファントムの可視化研究を遂行し、ミトコンドリアとの反応を可視化することを第一の目的とする。平成23年度で得たラジカル生成の最適な条件を用いて(最大濃度)、疾患モデルマウスを用いたOMRIによるin vivo可視化へと移行する。特に生体応用では、まずユビキノンプローブを局所投与し、OMRIによる動態の可視化を行う。その後、閉塞性大動脈硬化症の実験モデルであるマウス下肢虚血モデルを作製し、本ユビキノンプローブを用いたOMRIによる機能評価へと展開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は主にOMRIへの応用を目的とするため、実験動物、ファントム作製用の消耗品に費用を割り当てる。また2年目であるので、国内外の学会にて成果を発表する費用を計上した。
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Research Products
(7 results)