2013 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル反応を用いた薬物ナノCocrystalの調製及び製剤化
Project/Area Number |
23790056
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
深水 啓朗 日本大学, 薬学部, 准教授 (20366628)
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Keywords | 医薬品共結晶 |
Research Abstract |
本研究で検討した薬物のコクリスタル(Cocrystal,共結晶)化は,原薬の化学構造を修飾することなく,その固体物性を改善することができる製剤技術である.本研究では共結晶の形成過程をナノレベルで制御する粒子設計あるいは製剤設計を可能とする技術の開発を目的として取り組んできた.平成23~24年度ではアセトアミノフェンを主薬とする新規な共結晶3種類を見出し,打錠特性や溶出性といった製剤学的特性の改善について有用な成果が得られた. 最終の平成25年度は,名古屋市立大学大学院・薬学研究科と連携し,実生産を念頭においた製造法として噴霧乾燥法による共結晶の調製について検討した.噴霧乾燥法はナノ粒子の調製だけでなく,その後の製剤(マイクロスフェア)化に関しても技術情報の蓄積があることから,メカノケミカル的な手法よりも優先して検討することとした.アセトアミノフェンの共結晶に関しては,ジカルボン酸であるシュウ酸(既知)およびマレイン酸(新規)との組み合わせにおいて,それらの性質に応じた条件検討が必要であることが明らかとなった.例えばシュウ酸は安定な2水和物を形成するため,試料の溶媒に含まれる水分量ならびに乾燥温度によって得られる生成物中の共結晶含量が著しく影響を受けた. 本研究で検討した限りでは,噴霧乾燥法は他の調製法と比較して収率に優れる傾向が認められた.このことは噴霧された微細な液滴が乾燥する過程において過度の濃縮が起こるためと考えられた.そこでマイクロシリンジを用いて疎水化したガラスプレート上に微少容量の試料溶液を滴下したところ,数十ナノグラムの共結晶を析出させることに成功した.以上の結果より,共結晶の調製をナノレベルで行う技術の開発が達成された.今後,メカノケミカルな手法で調製を検討するとともに,微量な探索スクリーニングへの応用も期待できる.
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