2011 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴法を利用した半固形製剤中の水分子運動性の解析と製剤安定性への寄与
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23790057
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
大貫 義則 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10350224)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | MRI / 製剤安定性 / 油水分散系 / クリーム剤 / ADCマップ / 相分離挙動 / 非侵襲的モニタリング |
Research Abstract |
油水分散系は、クリーム剤などの液滴分散型軟膏剤の基剤として汎用されるが、水相と油相が相分離するにつれて、その物理安定性は劣化していく。このため、分散系製剤の製剤安定性を評価するためには、その相分離の挙動を十分に理解することが重要である。今のところ、油水分散系の相分離は、容器から取り出した試料を目視で確認する以外に方法がなく、そのため、容器内の試料の様子を非破壊的かつ経時的にモニタリングできる手法の開発が強く望まれている。そこで、当課題では、MRIを応用し、クリーム剤などの油水分散系製剤の安定性を評価できる新規手法の構築を試みている。初年度の検討では、遠心分離によって相分離させた油水分散系を試料に用いて検討を行った。その結果、試料中の水相と油相の相分離の様子が、水の分子運動を可視化したT1緩和時間画像(T1マップ)および見かけの拡散係数画像(ADCマップ)によって明確に可視化できることを明らかにした。また、これらの検討から、油相に分布する少量の水分子は、水相中のものに比べて、分子運動性が、より強固に構造化されていることが明らかになった。さらに、局所NMRスペクトル取得技術であるMR spectroscopyを応用することで、相分離した水相と油相、それぞれの水分量やその他の成分の解析を行える可能性も示唆された。MRIを用いた本手法は、配合された界面活性剤などの作用を深く理解する上でも非常に有用であると考えられる。次年度は、実際の製剤開発により近い条件で、本手法を評価していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当課題の最終目標は、液滴分散型軟膏剤などの油水分散系製剤の物理安定性を非破壊的かつ正確に評価できる新規手法を構築することである。現在時点で、研究は非常に順調に進んでいる。初年度の検討結果より、MRIが油水分散系の物理安定性を評価する上で非常に有用であることが明らかになった。例えば、遠心分離によって見た目でもはっきりと相分離している油水分散系をMRIによって観察したところ、T1緩和時間画像(T1マップ)やみかけの拡散係数画像(ADCマップ)といった水分子の分子運動性を可視化する手法によって、試料内の相分離の様子を明確に可視化できることが明らかになった。さらに、検討の過程で、相分離した油相中にも、ある程度の水分が分布していることや、油相中の水分子の分子運動性は、水相中のものよりも著しく強固に構造化されていることが明らかになった。さらに、局所NMRスペクトル取得技術であるMR spectroscopy法を応用することで、相分離している各相(水相および油相)の成分分析を行うことも可能であった。以上、これまでの検討結果から、MRIを用いた本手法は、油水分散系製剤の製剤安定性を正確に評価できる手法として有望であると考えられる。したがって、次年度は、HLB値の異なる数種類のクリームをモデル製剤を調製し、経時的な相分離挙動の違いなど観察していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実際の製剤開発により近い条件で検討を行い、考案した手法が、油水分散系製剤の安定性を評価する上での有用性を検証していく。界面活性剤のHLB値は、分散系製剤の製剤安定性に非常に重要である。通常、1つの製剤には、複数の界面活性剤が配合され、それらの配合比を調節することによって最適なHLB値に設定されている。次年度の検討では、まず、HLB値の異なる数種類のモデル製剤を調製し、それらの相分離挙動の違いをMRIによって評価していく。なお、モデル製剤の相分離の進行を促進させるために、保存温度60℃での加速試験を行う。一定時間ごとに試料を取り出し、MRIを用いてモデル製剤内部の水分子の分子運動性を可視化することで、試料内部の経時的な相分離の挙動を正確に評価できるかどうか検証する。さらに、次年度の検討では、市販されている分散系製剤の容器として汎用されるポリエチレンチューブに試料を充填し、その相分離の挙動を評価していく。なお、チューブに充填された試料の相分離挙動は、横置きまたは縦置きといった保存状態の違いによっても変化する可能性が考えられる。そこで、このことを検証するため、試料の保存状態を変えて加速試験を行い、試料内部の相分離挙動を検討しようと考えている。以上の検討によって、我々が考案する本手法が、分散系製剤の製剤安定性を評価するうえで有用かつ実用的であることを検証していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬(製剤成分、重水など)の購入費として30万円、実験器具(Wet SEMカプセル、NMR管、チューブなど)の購入費として30万円、MRI・NMRの機器使用料として年間20万円を配分し、研究を行う予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Contribution of the physicochemical properties of active pharmaceutical ingredients to tablet properties identified by ensemble artificial neural networks and Kohonen's self-organizing maps2012
Author(s)
Onuki, Y., Kawai, S., Arai, H., Maeda, J., Takagaki, K., Takayama, K.
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Journal Title
J. Pharm. Sci.
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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