2012 Fiscal Year Research-status Report
センサリーロドプシンIIに見出された新規中間体の性質と生理的役割について
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23790059
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
田母神 淳 松山大学, 薬学部, 助教 (30580089)
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Keywords | センサリーロドプシンII / 光受容タンパク質 / 光情報伝達 / 走光性 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
平成24年度は、センサリーロドプシンII(HsSRII)におけるM様中間体の生理的な役割を検討するために、生菌の走光性測定・解析に向けての準備に着手した。まずは、HsSRIIの走光性測定を可能にするために、高度好塩菌(Pho81株)でのHsSRII発現プラスミドの構築を行った。また、いくつか走光性に影響を及ぼす可能性のある候補アミノ酸残基を置換した変異体の発現プラスミドの構築も行った。現在までのところ、実際の顕微鏡による走光性応答画像データの取得には至っていないが、発現プラスミドを好塩菌株へと導入し、野生型およびいくつかの変異体については、好塩菌膜への発現をフラッシュ・フォトリシス法により確認できている。また、HsSRIIとの比較という意味で、性質や構造などがよく類似するN. pharaonis由来のSRII(NpSRII)の好塩菌発現プラスミドや対応する変異体発現プラスミドの構築も同時並行で行っており、いくつかの変異体についてはすでに作製が完了している。今後は、これらの発現プラスミド作製を引き続き続けるとともに、走光性測定・解析の方も進めていく予定である。また同時に、M様中間体の生成・崩壊に影響を及ばす変異体の探索も行っていきたいと考えている。 なお、今年度のもう1つの成果として、海洋真正細菌由来のロドプシン様タンパク質であるプロテオロドプシン(HsSRIIと同じ微生物型ロドプシンのグループに分類される)における強酸性pH条件下でのプロトン移動機構とレチナールシッフ塩基の第二の対イオンであるAsp227残基の役割について明らかにすることができた。このアミノ酸残基はHsSRIIにも保存されている残基であるため、この残基のHsSRIIにおける役割についても、(特にプロトン移動という観点から)プロテオロドプシンや他の微生物型ロドプシンとの比較により検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HsSRII発現好塩菌における走光性測定に向けての準備は、変異体作りも含めて順調に進んでいる。一方、実際の顕微鏡を用いた測定におけるきれいな測定画像データの取得とそのデータの解析方法に関してはまだ課題も多く含まれているため、これらについては今後の検討課題とする。
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Strategy for Future Research Activity |
HsSRII発現好塩菌における走光性測定系の構築が完了したら、次に本研究課題の目的であるHsSRIIのM様中間体がシグナリングステイトであるかの検討を行いたい。そのため、まずはin vitro系で調製した精製タンパク質を使って、M様中間体の生成や崩壊などに影響を及ぼす変異体の探索を行う。次に、影響を及ぼしそうな変異体については走光性測定のための好塩菌発現系に遺伝子を導入し、走光性応答への影響について調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は、大腸菌および好塩菌におけるタンパク質発現プラスミド構築のためのプライマー発注やタンパク質調製に必要な試薬、膜タンパク質可溶化のための界面活性剤の購入などに主に使用したい。また研究費の一部は、学会発表や共同研究者との打合せのための出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)