2013 Fiscal Year Annual Research Report
センサリーロドプシンIIに見出された新規中間体の性質と生理的役割について
Project/Area Number |
23790059
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
田母神 淳 松山大学, 薬学部, 助教 (30580089)
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Keywords | センサリーロドプシンII / 光受容タンパク質 / 光情報伝達 / 走光性 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
平成25年度は、昨年度から準備を進めてきたHsSRII発現好塩菌の顕微鏡による走光性観察および解析を前年に引き続き実施した。HsSRIIの走光性機構の詳細についてはアミノ酸残基レベルではほとんど明らかになっていないので、まずは類縁タンパク質であるN. pharaonis由来のSRII(NpSRII)の過去の知見を参考に、NpSRIIの走光性機能に重要であることが報告されているThr204残基およびTyr174残基に対応するHsSRIIのSer201およびTyr171残基に注目し、この箇所(Ser201はThr、Ala、Val、Cys、Tyrに、Tyr171はPheにそれぞれ置換した)の変異体を作製し、その走光性能を測定した。その結果、いずれの変異体でも野生型と同様に負の走光性応答が見られ、HsSRIIではSer201およびTyr171が機能に本質的に重要なアミノ酸残基ではないことが明らかになった。したがって、HsSRIIでは負の走光性機構においてNpSRIIとは異なる機構が備わっていることが予想され、その機構が負の走光性機能に重要であることが示唆された。 また、長寿命のM様中間体の形成が促進される変異体を探索するため、大腸菌発現系を用いて様々な変異体タンパク質を作製し、それらの光反応中におけるM様中間体の形成反応を定常光照射下での可視吸収スペクトル測定により調べたところ、D103N変異体においてM様中間体の形成が野生型と比べて著しく促進されることが明らかとなった。この実験は界面活性剤を含む溶液中で行っているため、実際の生菌中(細胞膜中)でも同じような効果が見られるかどうかについては今後さらに検討が必要であるが、M様中間体の生菌中でのシグナリング機構における役割を調べる上での有力な候補となる変異体を発見することができた。
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