2011 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア内膜トランスポーターの立体構造解析と輸送メカニズムの解明
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23790064
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
竹内 恒 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 研究員 (20581284)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 核磁気共鳴 / 膜タンパク質 / 立体構造解析 / タンパク質発現 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは、生体機能の維持に不可欠なエネルギー生産、代謝物の生合成を司る真核生物の細胞小器官である。この機能発現の中核を担うミトコンドリアトランスポーター(MTP)はミトコンドリア内膜に存在する膜蛋白質群で、様々な低分子代謝原料をミトコンドリアに供給するとともに、代謝産物を細胞質に輸送する働きを担う。またヒト遺伝子中にある約50種のMTPのうち少なくとも13種が病態関連遺伝子であることからもMTPの重要性は明らかである。本研究の目的はMTPの立体構造を解析することにより、その輸送メカニズムを解明することである。本研究の成果は、MTPの機能のより詳細な理解に繋がるとともに、MTPがかかわる疾患の理解、治療に貢献すると考える。本年度はヒトの疾患との関連が明らかな13種のMTP(CIC, PiC, AAC1, UCP1, 2, & 3, AGC2, ORC1DNC, CAC,ODC, GC1, SLC25A38)の大腸菌発現系を確立し、発現および精製条件の検討を行った。その結果、UCP1, SLC25A15, SLC25A20, SLC25A21 (36K) とSLC25A22(38K)で良好な発現量が観察された。その他のMTPについては発現量がわずかであり構造解析には適さないと判断した。しかしながら発現したMTPはすべて不要性画分に移行しており、可溶化条件の検討が必要となった。Sarkosyl, Traiton X100, DDM, OGなどの界面活性剤をもちいた可溶化を検討したが、一部が可溶性分に移行するのみで十分な効率での可溶化には成功していない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜タンパク質の多くは大腸菌における極めて発現が難しく、そのことが膜タンパク質研究の進展を困難にする原因となっている。今回多種のMTPの発現検討を行った結果、5種のMTPにおいて良好な発現量が観察されており、今後の展開に期待がもたれる。また異なる界面活性剤の混合、リン脂質の利用などを検討することで膜タンパク質の可溶化に成功した例が報告されていることから、今後の方針に関しても明確な指針が決まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は界面活性剤の混合、リン脂質の利用などを検討することで膜タンパク質の可溶化条件を速やかに確立し、構造解析に移行したい。同時に基質結合などを指標に活性の確認を行うことで、得られたMTPが可溶化後も活性を保持していることを確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は可溶化に用いる界面活性剤・脂質などの購入、構造解析用の安定同位体の購入に研究費を全額支出する予定である。
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