2011 Fiscal Year Research-status Report
高効率薬物代謝アッセイのためのミクロソーム電極の創製
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23790065
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三重 安弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (00415746)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ミクロソーム / 薬物代謝 / 電気化学アッセイ / ナノ構造界面電極 |
Research Abstract |
薬物代謝酵素を含有するミクロソーム試料を用いて薬物の代謝率を計測することは、医薬品開発や薬物投与設計において極めて重要である。しかしながら、現在のアッセイ法は低感度かつ高コストで時間を要するといった問題を有している。本研究では、高感度かつ低コストで迅速な計測が可能な電気化学法を利用する新しいアッセイ法の開発を目指す。本年度は、ミクロソームと電極界面を電気的及び物理的に繋ぐための複数種の電極コーティング剤の作製、それらを用いた電極界面のコーティング及びその界面特性評価を主に行った。 有機系導電性高分子や、末端修飾を施した二本鎖DNA分子を用いて、種々の条件にて電極界面へのコーティングを行いその特性を調べたところ、ポリアニリン等の有機系導電性高分子を用いた場合、ミクロソーム中の薬剤代謝酵素の駆動・計測に有用と期待されるナノ構造の構築・制御は困難であった。一方、末端修飾2本鎖DNAを用いた場合、該ナノ構造を構築でき、コーティング時の条件により得られるナノ構造が異なることを明らかにした。また、DNA末端の化学構造のフレキシビリティが、同材料を用いて電極界面をコーティングした場合の電極界面電子移動特性に大きく影響することを発見し、国際学会及び論文発表を行った。さらに、DNAコーティング界面を用いて、ミクロソーム試料に対する予備的な電気化学測定を実施したところ、ミクロソーム-電極間の直接電子移動に由来すると考えられる触媒電流応答が観測され、次年度の研究計画推進に有用な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、おおむね計画通りに研究を実施することができ、上記研究実績の概要に示した様に、次年度の研究計画を進めるうえで有用な知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成23年度に見いだした成果を活用して、種々の機能電極界面を作製し、同界面上へのミクロソーム試料の固定化及び電気化学法による薬物代謝計測の詳細な評価と最適なアッセイ系の構築を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度における予備的なミクロソームの電気化学計測の検討において、複数の電子移動応答が観測されていることから、様々なミクロソーム種や精製酵素等を用いた詳細な検討を実施する必要が生じ、電極界面の効果と併せて評価する。これらの検討における電極類や種々のミクロソーム及び酵素試料等が必要になる。また、得られる成果の学会及び論文発表等を行う。
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Research Products
(4 results)