2012 Fiscal Year Annual Research Report
高効率薬物代謝アッセイのためのミクロソーム電極の創製
Project/Area Number |
23790065
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
三重 安弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (00415746)
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Keywords | ミクロソーム / 薬物代謝 |
Research Abstract |
薬物代謝酵素を含有するミクロソーム試料を用いて薬物の代謝率を計測することは、医薬品開発や薬物投与設計において極めて重要である。しかしながら、現在のアッセイ法は低感度かつ高コストで時間を要するといった問題を有している。本研究では、高感度かつ低コストで迅速な計測が可能な電気化学法を利用する新しいアッセイ法の開発を目指す。具体的には、ミクロソームの電極界面上への適切な固定化および電圧を掛ける(印加する)ことによる薬物代謝酵素反応の駆動と活性評価を可能にするミクロソーム固定化電極を創製する。これにより上記目的が達成され、薬物研究の推進に大きく寄与できると考えられる。 昨年度(初年度)は、2本鎖DNAをコーティングした電極界面上にミクロソーム試料が固定され、電極―ミクロソーム間の直接電子移動に由来する信号を観測できることを明らかにした。しかしながら、明瞭な薬物代謝反応の計測には至らなかった。 そこで、本年度は更に好適なミクロソーム固定化電極を作製するため、2本鎖DNAコーティングを種々の条件下で行い、得られる界面上へのミクロソーム試料の固定化および薬物代謝反応の電気化学応答を調べた。電極界面のマスキング剤、印加電圧や固定化時間等により、得られる電気化学応答が異なることが明らかとなった。特定の条件下においては、比較的安定に電気化学薬物代謝反応を計測することができた。薬物として糖尿病治療薬を用いた系に適用し、野生型およびallelic変異体薬物代謝酵素による代謝反応を詳細に解析したところ、得られた薬物親和性や代謝速度などの酵素反応パラメーターの相関性は、従来の溶液系で評価されたものと一致した。以上より、電気化学的にミクロソーム薬物代謝反応を計測することに成功した。今後の課題としては、電極間の誤差を低減する技術開発が重要と考えられた。
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Research Products
(6 results)