2012 Fiscal Year Annual Research Report
自然・獲得両免疫系の連携におけるTYK2の役割の解明
Project/Area Number |
23790067
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
室本 竜太 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30455597)
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Keywords | サイトカイン / 炎症性免疫疾患 / Tyk2 |
Research Abstract |
本研究は炎症性免疫疾患におけるJAKチロシンキナーゼTyk2の役割解明を目指した。これまでにTyk2欠損マウスを用い種々の病態モデルについて解析し、ヘルパーT細胞のサブセットTh1細胞やTh17細胞と関連するさまざまな炎症病態(メチル化BSA誘導性遅延型過敏症、イミキモド誘導性乾癬様皮膚炎症、2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸誘導性大腸炎、デキストラン硫酸ナトリウム誘導性大腸炎、抗II型コラーゲン抗体誘発関節炎)の形成にTyk2が寄与することが判明した。今年度は耳介へのIL-23投与で誘発される乾癬様皮膚炎症モデルを用い、皮膚炎症促進におけるTyk2の役割の解析を進めた。野生型マウスと比べTyk2欠損マウスではIL-23誘導性の表皮肥厚や炎症細胞の浸潤が抑制され、IL-17やIL-22等サイトカインや抗菌ペプチド産生も減弱した。また、Tyk2欠損マウスではIL-22直接投与で誘発される表皮肥厚も抑制されたことから、この実験系においてTyk2はIL-23投与後のIL-22産生に寄与するのみならずIL-22によるシグナル伝達にも役割をもつことがわかった。以上の結果から乾癬病態形成へのTyk2の寄与が示唆された。また炎症反応に役割をもつマクロファージの機能に着目しTyk2 の役割を調べた。単球走化性因子MonocyteChemotactic Protein-1 (Mcp-1)等、数種のケモカインmRNA量が、野生型に比べTyk2欠損マウス由来骨髄マクロファージで有意に低下していることを見出した。ケモカインタンパク群は炎症組織への免疫細胞の遊走や細胞間の情報のやりとりに関与することが報告されていることから、Tyk2が炎症を促進する分子機構のひとつとしてケモカイン遺伝子発現への寄与が含まれることが示唆された。
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Research Products
(9 results)