2013 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性症を引き起こすスプライソソーム形成の異常とその調節機構の解明
Project/Area Number |
23790068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 宏 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (60431318)
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Keywords | スプライシング / snRNP / スプリットルシフェラーゼ |
Research Abstract |
本研究の目的はスフライソソーム異常が原因となる優性遺伝型網膜色素変性症(AdRP)の発症機序を理解し、治療の手がかりを見出すことにある。スプライソソームはsnRNPと呼ばれるサブユニットの集合体であり、反応過程に応じて構成因子はダイナミックに変化する。snRNPにはU1、U2、U4、U5、U6 snRNP の5 種類あり、それぞれ特異的な核内低分子 RNA (snRNA) とそれに特異的に結合するタンパク質群から構成される。AdRPではsnRNPの中でもU4/U6.U5 tri-snRNPと表記されるU4、U5、U6 の3つのsnRNPの複合体の形成、機能制御に関わる因子に変異が存在する。我々はスプリットルシフェラーゼを用いてsnRNPを簡便に検出する手法を開発し、疾患原因変異や低分子化合物が細胞内snRNP量に及ぼす影響を検討してきた。本年度は昨年度までの結果を元にしてU5 snRNP検出系の作成とその評価を論文報告した。さらに、この実験系を応用して東大創薬オープンイノベーションセンターの化合物ライブラリのスクリーニングも行ってきたが、本年度はその陽性化合物のスプライシングへの影響について、主にレポーター遺伝子のスプライシング変化を次世代シーケンサーにより詳細に解析した。具体的には、tri-snRNPの異常は保存されたイントロン末端配列の認識や反応進行の効率に影響する可能性が考えられること、陽性化合物処理によりtri-snRNPと関連したsnRNP複合体量が変動することから、陽性化合物処理後のスプライス部位認識への影響を検討した。その結果、snRNP量の変化と相関してスプライシング部位認識に影響が出る可能性が示唆されたことから、今後は陽性化合物の標的を同定し、AdRPで起きているスプライソソーム異常を薬剤により制御する可能性を検討したい。
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