2011 Fiscal Year Research-status Report
X11Lカルボキシル基末端の構造変化機構と生理的意義の解明
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23790069
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 有紀 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70548180)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | APP / Alzheimer's Disease / Aβ / X11s |
Research Abstract |
X11-like (X11L)はアルツハイマー病発症の原因遺伝子の一つであるアミロイド前駆体タンパク質(APP)の結合分子として単離・同定された神経特異的アダプタータンパク質である。X11Lにはタンパク質相互作用ドメインであるPTBドメイン及び2つのPDZドメインが保存されており,PTBドメインを介しAPPと結合するが,APPとの結合・代謝制御機構は不明であった。我々は,X11L-APP結合制御ドメインとしてPDZドメインに着目し,以下の3つの目的を本年度の研究目的として設定し解析を行った。1. X11L PDZドメインの構造変化がC末端のリン酸化により制御されていることを明らかにする。2. X11L PDZドメインの構造変化がAPP代謝を制御していることを明らかにする。3. スパイン形成・成熟過程におけるPDZドメイン構造の機能を解明する。以下,それぞれの目的に対する研究成果概要を記載する。1. X11LのC末端がリン酸化されていることを in vitro kinase assayにより明らかにした。抗X11Lリン酸化特異的抗体の作製に成功し,X11LのC末端がin vivoにおいてもリン酸化修飾を受けていることを明らかにした。2. リン酸化模倣X11L変異体では,野生型X11Lが持つAPP代謝安定化能が低いことを明らかにし,リン酸化模倣X11L変異体と野生型X11Lでは細胞内の局在様式が異なることを明らかにした。3. シナプスの形成・成熟に関わることが明らかになっているArf6タンパク質との結合が,リン酸化模倣X11L変異体と野生型X11Lで異なることを示した。これらの成果は,APP結合分子のリン酸化によりアルツハイマー病発症の原因因子と考えられているAβの産生が制御されていることを示しており,未解明なアルツハイマー病発症機構解明に貢献する重要かつ意義のある成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度設定した目的1. X11L PDZドメインの構造変化がC末端のリン酸化により制御されていることを明らかにする。2. X11L PDZドメインの構造変化がAPP代謝を制御していることを明らかにする。3. スパイン形成・成熟過程におけるPDZドメイン構造の機能を解明する。を全て達成できたことから,順調に研究が進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
X11L kinaseの同定をkinaseライブラリーを用い同定する。同定したkinase, X11Lのリン酸化レベル,アルツハイマー病態との統計学的関連をアルツハイマー病患者の死後脳を使用し解析し,X11Lのリン酸化レベルがアルツハイマー病発症と密接に関連していることを明らかにする。また,X11Lのリン酸化は脂質との親和性を変化させることも明らかにしていることから,X11Lリン酸化による脂質への親和性変化が細胞内局在変化やAPP代謝を制御していることを明らかにする。また,X11LのPDZドメイン構造変化(リン酸化)がArf6との結合変化を介しスパイン形成および成熟を制御していることを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額に関して,平成23年度に実施した細胞培養に必要なプラスティック消耗品の支払に使用する。
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Research Products
(13 results)