2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23790076
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
東 恭平 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10463829)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ポリアミン / ポリアミン輸送系 / 薬物排出蛋白質 / プロテオグリカン / ヘパラン硫酸 / コンドロイチン硫酸 |
Research Abstract |
現在までに同定されているヒト薬物排出蛋白質のポリアミン輸送活性能を詳細に調べたところ、hOCT2がプトレスシン(PUT)およびスペルミジン(SPD)を取り込み、hOCT2-AおよびhOCT3がPUTを取り込むことが明らかとなった。PUT輸送活性能は、hOCT2>>hOCT2-A=hOCT3であった。hOCTN1、hOCTN2、hMATE1およびhMATE2-Kにはポリアミン輸送活性能は認められなかった。hOCT2のPUTとSPDに対するkm値はそれぞれ10.9mMおよび14.2mMと高く、またDFMO添加による細胞内ポリアミン量の枯渇時にhOCT2 mRNAの発現量が増加しなかった。以上の結果より、薬物排出蛋白質は動物細胞の主要なポリアミン輸送系ではないことが示唆されたため、現在DFMO添加により発現量が増加する膜蛋白質の探索を行っている。hOCT2は12回膜貫通蛋白質でありポリアミン輸送活性を有するが、C末端側が切断されたhOCT2-Aでは輸送活性が減少したことから、PUTおよびSPDの認識にhOCT2のC末端側が関与している可能性が高く大変興味深い。現在、ポリアミンの認識に関与するhOCT2のC末端酸性アミノ酸残基の同定を部位特異的変異導入法により検討中である。エンドサイトーシスによるポリアミンの取り込みは、ヘパラン硫酸(HS)プロテオグリカンに依るとの報告があるため、ポリアミン枯渇時におけるHSの二糖組成および量の変化を10種の動物細胞を用いて検討した。その結果、5種の細胞でdeltaUA2S-GlcNSの量が増加したが、HSの硫酸化度、HS量およびGlcNH3+の増加は認められなかった。驚いたことに、コンドロイチン硫酸(CS)の二糖組成、特に6S/4S比の増加が7種の細胞で認められた。現在、HSおよびCSプロテオグリカンのポリアミン輸送に与える影響を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに同定されている有機カチオントランスポーターのポリアミン輸送活性を全て検討し、今年度中にhOCT2の機能解析が完了する予定である。また、プロテオグリカンによるポリアミン輸送能の機能解析も完了する予定である。更に新規ポリアミン輸送蛋白質の同定を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1)ポリアミン輸送蛋白質hOCT2の機能解析:hOCT2は12回膜貫通蛋白質でありポリアミン取り込み活性を有するが、C末端側が切断されたhOCT2-Aでは輸送活性が減少したことから、PUTおよびSPDの認識にhOCT2のC末端側が関与している可能性が高い。現在、ポリアミンの認識に関与するhOCT2のC末端酸性アミノ酸残基の同定を部位特異的変異導入法により検討する。2)新規ポリアミン輸送蛋白質の同定:HEK293細胞にDFMOを添加し、細胞内ポリアミン量を枯渇させた時の細胞膜蛋白質の発現パターンをDFMO無添加時と比べたところ、CBB染色ではほとんど変化は認められなかった。そのため、HEK293細胞でのポリアミン輸送蛋白質の発現量は低いと考えられた。そこで数種類の細胞を用い、DFMO添加時にポリアミン取り込み活性がHEK293細胞に比べて高い細胞を探索する。ポリアミン輸送活性が最も高い細胞の細胞膜画分を調製し、DFMO無添加時に比べて発現が増加する膜蛋白質を同定する。3)ヘパラン硫酸およびコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのポリアミン輸送に与える影響:HSase又はCSaseにより細胞膜上に発現しているグリコサミノグリカン(GAG)を消化した際に、ポリアミン輸送活性が変化するかどうかを検討する。またGAG欠損株を用い、野生株と比べてポリアミン輸送活性に変化があるかどうかも検討する。プロテオグリカン依存性のポリアミン取り込み活性が認められた場合、プロテオグリカンを精製し、GAGとポリアミンとの相互作用について検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)ポリアミン輸送蛋白質hOCT2の機能解析2)新規ポリアミン輸送蛋白質の同定3)ヘパラン硫酸およびコンドロイチン硫酸プロテオグリカンのポリアミン輸送に与える影響上記の研究を遂行すべく、細胞培養、ポリアミン輸送活性測定、遺伝子操作などに必要な試薬、標識化合物、生化学器具類の購入に研究費を使用する。また、得られた成果を学会にて発表する予定である。
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Research Products
(1 results)