2013 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性繊維芽細胞増殖因子の脂肪細胞に対する代謝調節因子としての役割
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23790089
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木平 孝高 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90377276)
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Keywords | 低酸素誘導因子 / 肥満 / 糖尿病 / アディポネクチン / GLP-1 / インスリン |
Research Abstract |
塩基性繊維芽細胞増殖因子が、脂肪細胞において、低酸素誘導因子(HIF-1a)を介して、グルコース輸送担体1の発現を増加させ、糖代謝の変化を生じさせ、脂肪細胞の機能異常を生じさせることを明らかとした。このことから、HIF-1aが脂肪細胞に発現することが、肥満による糖尿病の発症や進展に関与すると考えられた。そこで、HIF-1aを脂肪細胞特異的に欠損したマウス(ahKOマウス)を用いて解析することとした。野生型マウスでは、肥満に伴う耐糖能異常、インスリン抵抗性が観察されるが、ahKOマウスにおいては観察されなかった。HIF-1a欠損による耐糖能異常改善のメカニズムを解明するために、血清中のインスリン濃度を測定したところ、ahKOマウスにおいて上昇していることが明らかとなった。インスリンを上昇させるホルモンとしてグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)が知られているため、この血中濃度を測定したところ、ahKOマウスにおいて高いことが明らかとなった。このことから、ahKOマウスでは、腸管からのGLP-1分泌が上昇し、インスリン分泌が上昇することにより、耐糖能が改善すると考えられる。一方、アディポカインであるアディポネクチンの血中濃度がahKOマウスにおいて上昇していることが明らかとなった。そこで、アディポネクチンがGLP-1分泌を促進する可能性について検討を行った。GLP-1分泌細胞株にアディポネクチンを添加したところ、GLP-1分泌が促進された。以上の結果より、脂肪細胞におけるHIF-1aの欠損により、脂肪細胞からのアディポネクチンの分泌が上昇し、これが腸管のGLP-1の分泌を促進し、次いでインスリンの分泌を促進することにより、耐糖能が改善すると考えられる。臓器間のホルモン連関の異常が糖尿病の進展に関与しており、HIF-1aがこの制御に関与することが明らかとなった。
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[Journal Article] Deletion of Hypoxia-Inducible Factor-1α in Adipocytes Enhances Glucagon-Like Peptide-1 Secretion and Reduces Adipose Tissue Inflammation2014
Author(s)
Yoshitaka KIHIRA, Mariko MIYAKE, Manami HIRATA, Yoji HOSHINA, Kana KATO, Hitoshi SHIRAKAWA, Hiroshi SAKAUE, Noriko YAMANO, Yuki IZAWA-ISHIZAWA, Keisuke ISHIZAWA, Yasumasa IKEDA, Koichiro TSUCHIYA, Toshiaki TAMAKI, Shuhei TOMITA
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 9
Pages: e93856
DOI
Peer Reviewed
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