2011 Fiscal Year Research-status Report
血管平滑筋のカルシウムマイクロドメインを安定化させる新規足場構造の同定
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23790092
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山村 寿男 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (80398362)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | カルシウム動態 / カルシウムチャネル / カリウムチャネル / 全反射蛍光顕微鏡 / アクチン / イオンチャネル / 血管平滑筋 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
血管機能に重要な役割を果たす電位依存性カルシウムチャネルや大コンダクタンスカルシウム活性化カリウム(BK)チャネルは、血管平滑筋の細胞膜に発現し、筋小胞体膜上のリアノジン受容体とカルシウム動態が厳密に制御されたカルシウムマイクロドメインで機能すると想定される。本研究では、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて、カルシウムマイクロドメインに集積する分子群やそれらの分子間相互作用を可視化解析し、このような複合体を安定化させる足場構造の同定とその機能的意義の解明を目指した。初代培養したラット大動脈平滑筋細胞に蛍光タンパクでラベルしたBKalpha(BKalpha-YFP)を一過性発現させた後、その一分子動態をTIRF画像解析した。細胞骨格の一種であるアクチンの重合を阻害するサイトカラシンDを培養平滑筋細胞に前処置すると、BKalphaの拡散係数が有意に増加した。一方、アクチンの重合を促進するジャスプラキノリドを処理した後、サイトカラシンDを添加しても、BKalphaの挙動はサイトカラシンDのみを作用させた場合に比べて顕著に小さかった。以上の結果より、BKチャネルの活性本体であるBKalphaの分子動態は、アクチンのような細胞骨格との分子間相互作用によって抑制的に制御されていることが示された。本成果は、血管平滑筋の興奮性を規定するカルシウムマイクロドメインの生理的意義の更なる解明と、それらを基盤としたイオンチャネル創薬や循環器系疾患治療法の開拓につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画予定であった血管平滑筋カルシウムマイクロドメインを構成する大コンダクタンスカルシウム活性化カリウム(BK)チャネルの一分子動態における細胞骨格の影響について解析を進め、BKチャネルの一分子動態にアクチンが抑制的に制御することを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、血管平滑筋カルシウムマイクロドメインを形成する因子であると推測されている細胞膜ラフト構造(カベオリン)を可視化して、細胞構造上の観点から細胞内カルシウムシグナルの支持基盤を新たに同定する。具体的には、大コンダクタンスカルシウム活性化カリウム(BK)チャネルの一分子動態に及ぼすカベオリンの物理的・機能的相互作用について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の内訳も、本年度の使用状況を踏まえて、ほぼ同じように使用する予定である。ただし、次年度は本研究課題の最終年度にあたるので、研究成果発表のための旅費(国内や国外での学会参加と発表)やその他(論文投稿料や論文別刷費)の割合が増えると予想される。一方、物品費(実験消耗品など)の割合が低く抑えられる予定である。人件費・謝金は例年通りに使用する。
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Research Products
(43 results)