2013 Fiscal Year Annual Research Report
赤血球・血小板におけるスフィンゴシン1リン酸輸送機構の解明
Project/Area Number |
23790093
|
Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
小林 直木 帝京平成大学, 薬学部, 助教 (90532250)
|
Keywords | 脂質メディエーター / S1P / スフィンゴシン1リン酸 / トランスポーター / 輸送体 / 赤血球 |
Research Abstract |
スフィンゴシン1リン酸(S1P)は、血漿中に存在する脂溶性の細胞外情報伝達物質であり、胸腺や脾臓からのリンパ球の移出を促進する。血漿中のS1Pは、主に赤血球から供給されているが、赤血球からのS1P放出機構はほとんど明らかになっていない。本研究では、赤血球のS1P輸送体同定を目的として、光反応性S1P-biotinと相互作用する赤血球の膜タンパク質を同定した。 光反応性S1P-biotinにより赤血球反転膜小胞の光親和性ラベリングを行ったところ、複数のタンパク質がラベルされ、これらのラベリングは、過剰量のS1Pにより阻害されたことから、S1P特異的なラベリングと考えられた。ラベルされたタンパク質は、Triton X-100およびSDSを含むバッファーにより効率良く可溶化できた。当初、この条件で可溶化後、アビジンビーズを添加し、ラベルされたタンパク質の精製を試みたが、ラベルされたタンパク質は一部しか精製されなかったため、タンパク質の変性が不十分であると考えた。そこで、タンパク質変性の条件を検討したところ、ウレアとジチオスレイトールを添加後、ヨードアセトアミドによりアルキル化すると、ラベルされたタンパク質が効率良く精製されることが分かった。以上の方法により精製されたタンパク質と、アビジンビーズへ非特異的に吸着する赤血球反転膜小胞のタンパク質をSDS-PAGEにより比較したところ、約60, 75, 80, 100kDaのタンパク質が光反応性S1P-biotinによるラベリング特異的に精製されることが分かった。質量分析により、これらのタンパク質を解析した結果、Band3とCD36が同定されたが、これらの遺伝子を培養細胞に発現させたところ、S1Pの輸送活性を示さなかった。CD36は酸化LDL受容体として知られており、S1Pが酸化LDLの取り込みに関与している可能性も考えられる。
|
Research Products
(3 results)