2012 Fiscal Year Annual Research Report
抗-ヒストンH1ミモトープ抗体は免疫寛容を誘導する医薬品になるか?
Project/Area Number |
23790094
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Research Institution | Josai International University |
Principal Investigator |
島田 弥生 城西国際大学, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (70439024)
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Keywords | 免疫抑制剤 / 抗体医薬 |
Research Abstract |
抗ヒストンH1ミモトープ抗体(SSV mAb)が免疫寛容を誘導する医薬品になりうるかどうか実験動物を用いて評価し、その作用メカニズムを解明することを本研究の目的とした。 次の3つの研究を最終年度に実施した。1)SSV mAbがリポ多糖刺激による樹状細胞(DC)の活性化を抑制するか調べた。その結果、SSV mAbはDCの活性化を抑制しなかった。2)SSV mAbの作用する免疫細胞が特定されなかったため、脾細胞の細胞膜タンパク質をサンプルとして、ウェスタンブロット解析によってSSV mAbの抗原を調べた。その結果、SSV mAbは約160 kDa(pI 5)、約120 kDa(pI 6)、約45 kDa(pI 4)のヒストンH1とは異なる3つのタンパク質に結合した。3つのタンパク質の存在量が極めて微量だったため、質量分析による抗原同定には至らなかった。3)ラット心移植拒絶反応モデルにおいてSSV mAbが拒絶反応を抑制するか調べた。その結果、SSV mAbは拒絶反応を抑制しなかった。 本研究で得られた成果は次の通りである。SSV mAbはIL-2の産生を抑制することなく、拒絶反応のin vitroモデルである混合リンパ球反応を抑制した。SSV mAbは前述の3つの細胞膜タンパク質を介してT細胞とDC以外の細胞に作用すると推測された。残念ながら、SSV mAbは心移植拒絶反応モデルにおいて拒絶反応を抑制しなかった。以上の結果から、SSV mAbを免疫寛容を誘導する医薬品に応用することは難しいと結論した。 一方、SSV mAbは全身性の炎症反応である敗血症のモデルマウスの致死率を劇的に改善する効果が認められている。今後は、本研究で得られた成果を礎に、SSV mAbの敗血症治療薬への応用を目指す。SSV mAbの作用細胞および抗原を引き続き調査し、抗炎症作用メカニズムの解明に取り組む。
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Research Products
(5 results)