2012 Fiscal Year Annual Research Report
STAT5標的遺伝子による真性赤血球増加症発症機構の解析
Project/Area Number |
23790096
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30445192)
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Keywords | 真性赤血球増加症 / JAK2 / STAT5 / c-Myc / Aurka / ODC |
Research Abstract |
真性赤血球増加症 (PV) の原因遺伝子としてチロシンキナーゼJAK2の点変異体 (V617F) が同定されたが、JAK2の点変異がPVを引き起こすメカニズムは不明である。これまでに、JAK2変異体が恒常的な転写因子STAT5の活性化を介して細胞がん化シグナルを誘導することを報告してきた。本研究では、PVの発症メカニズムを解明することを目的として、JAK2変異体の下流で発現が誘導されるSTAT5標的遺伝子群を同定し、それらの細胞がん化シグナルにおける役割を解析することをめざした。 DNAアレイ法を行った結果、JAK2変異体発現細胞において、転写因子c-Mycの発現がSTAT5依存的に誘導されることを見出した。さらに、RNA干渉法を用いてc-Mycの発現を抑制すると、JAK2変異体の腫瘍形成能が顕著に阻害されることを明らかにし、c-Mycやその標的遺伝子群がJAK2変異体の細胞がん化シグナルにおける実行因子として機能する可能性を示した。また、JAK2変異体の下流で機能するc-Myc標的遺伝子として分裂期キナーゼ Aurkaを同定し、AurkaがJAK2変異体の持つDNA損傷に対する抵抗性に重要な役割を果たすことを明らかにした (FEBS Lett. 2011)。最終年度には、JAK2変異体の下流でc-Mycを介して発現が誘導される遺伝子としてポリアミン合成酵素 Ornithine decarboxylase (ODC) を同定した。さらに、ODC阻害剤 (DFMO) がJAK2変異体発現細胞のG0/G1期における細胞周期の停止を誘導し、JAK2変異体による腫瘍形成を顕著に阻害することを見出した (PLoS One. 2013)。以上の研究を通して、c-Mycを介したAurkaおよびODCの発現誘導がJAK2変異体の細胞がん化シグナルを担っていることを明らかにした。
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