2011 Fiscal Year Research-status Report
酵素を区別する人工補酵素の開発と次世代型基質-補酵素複合体医薬品開発への応用
Project/Area Number |
23790103
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
藤井 幹雄 東邦大学, 薬学部, 講師 (20311996)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 酵素 / 立体配座 / 二リン酸 |
Research Abstract |
23年度は、本研究全体の基盤となる補酵素NAD修飾阻害剤の合成を行った。具体的にはNADのピリジン環をチアゾールに置き換えた阻害剤TADに対し二リン酸の代わりにシクロヘキサンジカルボン酸(二面角60度)二種類とフマル酸(180度)、コハク酸(自由回転可能)のような炭素官能基に変換した阻害剤を合成した。合成した阻害剤に対する5種のアルコール脱水素酵素に対する阻害作用(Ki)を測定し、二リン酸部位を化学修飾のNAD依存酵素に対する選択性を評価した。その結果、酵素の立体構造から予想されたように(R,R)-シクロヘキサンジカルボン酸で固定した化合物が最も強い阻害作用を示した。また、その強さも、NADに対するKm値の1/4程度で、二リン酸とは全く極性や電荷の異なる化合物でもかなり強力に結合することが示された。この結果より、NADの二リン酸部位の役割として、アデノシンとニコチンアミドヌクレオシドの配座を固定する役割があることが強く示唆され、酵素選択性をもつ化合物の構築の可能性が高いものになった。同時に、NAD依存酵素の結晶構造中におけるNADの立体配座の調査を行い、補酵素の立体配座による酵素分類を行った。NAD依存酵素のうち、多くの酸化還元酵素が折れ曲がり構造をとっているが、アルドースリダクターゼは直線的な立体配座をもっていることがわかり、糖尿病治療薬の創薬ターゲットであるアルドースリダクターゼが、我々の研究における創薬研究のターゲットになりうることが分かった。引き続き、人口補酵素の合成を行っているが、化合物自体が不安定なため、現在のところ、その合成には至っていない。引き続き、合成ルートを変更して合成を目指している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究のうち、阻害剤の合成に関しては、予定以上に進み、24年度に予定していた酵素に対する阻害作用まで調べることまでできた。しかしながら、人口補酵素に対しては、合成に問題があり、予定通りには進まなかった。予め想定できた問題であり、計画通り進まなかった場合の通りの対応になっており、当初の計画、目的に対してなんら支障はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、人口補酵素の作成を行うと同時に、基質-補酵素複合型阻害剤の合成を行う。ターゲットは、今回の詳細な研究で、より良いターゲットとして見つかったアルドースリダクターゼにする。また、アルドースリダクターゼに対する作成した阻害剤の阻害作用についても詳しく調べる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として高価なアルドースリダクターゼの購入と、溶媒や試薬の購入に当てる。
|
Research Products
(3 results)