2011 Fiscal Year Research-status Report
核内受容体CARを介した生体外異物による活性化機構及びエネルギー代謝調節撹乱
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23790104
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
菅野 裕一朗 東邦大学, 薬学部, 講師 (40453849)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 転写因子 / 分子生物学 / 代謝調節 |
Research Abstract |
生体には医薬品や環境汚染物質などの生体外異物に対する防御機構が備わっている。脂溶性の生体外異物(リガンド)が侵入すると、これを認識した受容体型転写調節因子が細胞質から核内へ移行し、標的遺伝子(酸化酵素、抱合酵素、トランスポーターなど)の発現を誘導して代謝・排泄が促進される。このような異物センサーとして機能する細胞内受容体に含まれるConstitutive Androstane Receptor (CAR)のスプライシングバリアントであるCAR-SV2がノンゲノミックにAMPKを活性化することを示唆する新知見が得た。23年度は、GSTプルダウンアッセイや免疫共沈降法によりAMPKとCAR-SV2の結合の可能性について検討を行なった。その結果、CAR-SV2はAMPK複合体のβサブユニットと直接結合することが明らかとなった。このことはCAR-SV2がAMPKβサブユニットと結合することによりAMPKの活性を調節している可能性が示唆された。さらに、Tet-systemを用い,ヒト肝がん由来のHepG2細胞におけるCAR-SV2およびCAR-WTのコンディショナルな発現株を作成した。これらの細胞株においてCAR-WTの発現誘導により標的遺伝子であるCYP3A4,2B6, UGT1A1 mRNA発現の誘導が認められたが、CAR-SV2の発現誘導によるこれらの遺伝子の発現誘導は認められなかった。このことより、CAR-SV2はWTと異なり遺伝子の発現調節の機能はもたないことが明らかとなった。したがって、CAR-SV2によるAMPKの活性調節は選択的な機能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りAMPKとCARの結合を検討し、AMPKとCARが結合することを明らかにすることができた。また、CAR-WT, SV2のコンディショナルな発現HepG2細胞の樹立を行い、次年度に向けての準備を整えることができた。一方で学部内P2実験室の整備が順調に行うことが出来ず、ウイルスベクターの作製の予定については進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)In vitroにおける検討-AMPKは様々な機構によって活性調節を受けている。たとえば、上流キナーゼであるLKBによるリン酸化、ホスファターゼによる脱リン酸化、β及びγサブユニットによるリン酸化の調節などが知られている。 そこで、どのように調節が行われているかをin vitroで検討する。AMPKα、β、γ及びCAR-SV2の組み換えタンパク質を精製し、AMPKのキナーゼによるリン酸化、フォスファターゼによる脱リン酸化を観察する実験系CAR-SV2の影響を観察する。(2)樹立したHepG2細胞を用いたCAR-SV2の機能解析-前年度樹立した誘導性SV2発現HepG2細胞をもちい、アンドロステノール投与によるAMPKのリン酸化、肝臓トリグリセリド、コレステロール量などを測定し、CAR-SV2の生理作用を明らかとする。また、糖尿病・肥満モデルラットを用いて、CARの役割を検討する。(3)ウイルスベクターの作製-前年度行えなかったウイルスベクターの作製を行う。初代培養肝細胞を用いてCAR-SV2の生理機能を解析するため、効率よく遺伝子導入が可能なウイルスベクターを用いた遺伝子導入を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の研究計画につきウイルスベクターの作製について予定通り進めることができなかったため、繰り越し金額が生じた。繰り越し金額に関しては、次年度に行う予定のウイルスベクターの作成に使用する。その他に関しては、23年度と同様に消耗品中心の使用計画である。プライマーの合成及びシークエンス等は外注する。
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