2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタゲノムアプローチによる多剤耐性緑膿菌克服薬の探索:排出ポンプ欠損株の活用
Project/Area Number |
23790106
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
森田 雄二 愛知学院大学, 薬学部, 准教授 (00454322)
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Keywords | 多剤耐性緑膿菌 / 多剤排出ポンプ / MexXY(-OprA) |
Research Abstract |
我が国で2000年代に分離された典型的な高度多剤耐性緑膿菌NCGM2.S1やアルゼンチンで1980年代に分離された薬剤耐性緑膿菌PA7から、抗菌薬耐性に関与するMexXY(-OprA)やMexAB-OprMなどのRND型多剤排出ポンプを欠損する一連の遺伝子改変株を構築した。MexXY(-OprA)を欠損した株は、アミノ配糖体修飾酵素を持つにもかかわらずアミカシンなどアミノ配糖体に感受性を示した。またMexXY(-OprA)やMexAB-OprMを含む複数のRND型多剤排出ポンプを欠損した株は、作用部位である標的遺伝子(gyrAやparC)に典型的な変異を持つにもかかわらず、シプロフロキサシンなどフルオロキノロンに感受性を示した。臨床応用可能なRND型多剤排出ポンプ阻害剤は、多剤耐性緑膿菌のアミノ配糖体やフルオロキノロンの耐性を克服できるかもしれない。 抽出した土壌由来の微生物DNA(eDNA)を用いて構築したDNAライブラリー(メタゲノムライブラリー)を用いて、多剤耐性緑膿菌NCGM2.S1またはその株から構築した多剤排出ポンプ欠損株の抗菌薬耐性を阻害するクローンDNAをスクリーニングした。残念ながら現時点で候補クローンDNAは得られていない。しかしながら同時に漢方方剤繁用生薬を用いてスクリーニングしたところ、多剤耐性緑膿菌のアミノ配糖体やマクロライドなどの耐性を阻害するシード化合物を発見した。さらにこのシード化合物のアミノ配糖体耐性阻害作用は、多剤排出ポンプMexXY(-OprA)依存的であることが分かった。これをリード化合物として創薬できれば、従来不可能であった多剤耐性緑膿菌の治療が可能となるかもしれない。
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