2012 Fiscal Year Annual Research Report
脳におけるビタミンK生合成機構と脳神経変性疾患との関連性の解明
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23790110
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中川 公恵 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (90309435)
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Keywords | ビタミンK / メナキノン-4 / メナキノン-4生合成酵素 / アルツハイマー |
Research Abstract |
血液凝固や骨形成に重要な役割を担うビタミンKは、これまで栄養素として摂取したものが生体で作用していると考えられていた。しかし、申請者は摂取したビタミンKが生体内でビタミンK2(メナキノン-4)に変換されることを明らかにし、それを担う酵素「メナキノン-4生合成酵素」を見いだすことに世界で初めて成功した(Nature 2010)。本研究では、生体内でメナキノン-4が生合成される生理的意義を解明し、特に脳神経変性疾患との関連性を調べ、脳におけるメナキノン-4の役割を解明し、脳神経変性疾患治療へのビタミンKの有用性を見いだすことを目的とする。本年度は、ヒト脳における「メナキノン-4生合成酵素」の発現およびメナキノン-4濃度に関するアルツハイマー認知症との関連性を解析するため、ヒト脳検体を東京都健康長寿医療センター高齢者ブレインバンクより提供いただき、健常高齢者とアルツハイマー型認知症高齢者の脳検体におけるビタミンK濃度の定量を行った。その結果、アルツハイマー型認知症高齢者の脳では健常者に比べ、メナキノン-4濃度が有意に低下していることがわかった。また、「メナキノン-4生合成酵素」mRNA発現量を定量した結果、その発現量も有意に低いことがわかった。また、脳神経細胞における「メナキノン-4生合成酵素」の機能を解析し、神経細胞の分化を制御する作用があることがわかった。さらに、「メナキノン-4生合成酵素」が認識する基質リガンドの特性の解析を行い、メナキノン-4への変換効率の高いリガンドおよび阻害効果を持つリガンドを見いだした。 本研究により、「メナキノン-4生合成酵素」およびそれにより生成するメナキノン-4が、脳神経細胞の生存性や機能に重要な役割を担うことを見いだした。
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Research Products
(6 results)