2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚性幹細胞の分化指向性における脂質シグナリングの役割の解明
Project/Area Number |
23790116
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
安田 智 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子細胞医薬部, 室長 (20381262)
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Keywords | 発生・分化 / 多能性幹細胞 / 心筋細胞 |
Research Abstract |
心筋梗塞などによって引き起こされる心機能不全に対して多能性幹細胞から分化させた心筋細胞を治療薬として用いる試みがされている。多能性幹細胞から目的細胞への低い分化効率は収量の低下を招くため、効率の高い分化方法を考案することが重要であり、そのためには多能性幹細胞からの心筋分化メカニズムの解明が必要である。我々は、すでにマウス胚性癌細胞および胚性幹細胞(ES細胞)の新規の心筋分化制御遺伝子としてAW551984の同定に成功している。前年度までの研究により、AW551984は心筋前駆細胞から心筋細胞への分化の制御を行うことが明らかになっている。AW551984の遺伝子産物は、VWAドメインおよびVITドメインを有する85 kDaのタンパク質である。ヒトホモログであるvon Willebrand factor A domain containing 5A(VWA5A)はがん抑制遺伝子として報告されているが、VWA5Aの発がん抑制における分子メカニズムは不明な点が多い。AW551984による心筋分化制御メカニズムの解明のためには、AW551984と相互作用するタンパク質を同定する必要がある。AW551984 VITドメインとGSTタグタンパク質との融合タンパク質を大腸菌に過剰発現させ、グルタチオンセファロースカラムによりアフィニティー精製した。このリコンビナントタンパク質を用いて、分化させたマウスES細胞の細胞溶解液よりプルダウンアッセイを行い、LC-MS/MS解析によりAW551984 VITドメイン結合タンパク質を8種類同定した。現在これらの同定されたタンパク質のマウスES細胞の心筋分化における機能解析を行っており、AW551984の心筋分化制御メカニズムの解明に将来結ぶつくことが期待される。
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Research Products
(11 results)