2012 Fiscal Year Research-status Report
巨大ユビキチンライゲースApollonによる小胞体ストレス制御機構の解析
Project/Area Number |
23790117
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
大岡 伸通 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (80568519)
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Keywords | Apollon / アポトーシス / ユビキチン / 小胞体ストレス |
Research Abstract |
アポトーシス阻害タンパク質であるApollonのノックアウトマウスでは胎盤形成不全が高頻度に認められる。また、マウス生体レベルにおいて胎盤の発達には正常な小胞体ストレス応答が重要であることが報告されている。本研究では小胞体ストレス応答におけるApollonの役割と活性制御機構の解明を目的とする。 小胞体ストレス時にApollnによって発現が制御される分子を探索するために、Apollonノックダウン細胞及びコントロール細胞を、それぞれ小胞体ストレス誘導剤であるthapsigarginで処理し、様々な小胞体ストレス制御因子、細胞死関連因子、細胞増殖制御因子のタンパク発現量を両細胞間で比較検討した。Apollonはcaspase-9をユビキチン化し、分解することでアポトーシスを誘導することが知られているように、Apollnノックダウン細胞ではコントロール細胞に比べ、caspsae-9の発現量が増加し、PARPの切断が増加した。これに相関し、ノックダウン細胞では小胞体ストレスによる細胞死が増強されることが確認された。一方で、Apollonをノックダウンした細胞ではBcl2ファミリーに属するある種のアポトーシス制御因子において発現が増強するものや、切断を受けたような小分子量のバンドが現れるものが新たに見つかった。これらの結果から、小胞体ストレス時におけるApollonによる新たなアポトーシス制御機構が存在することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究によってApollonによる新たなアポトーシス制御機構が存在することが明らかになった。Apollonノックダウン細胞において、ある種のBcl2ファミリータンパク質の発現増加が観察された。これまでの報告で、ApollonはSMAC、caspase-9、HtrA2のユビキチン化による分解を介してアポトーシスを制御していることが示されているが、Bcl2ファミリータンパク質の発現を制御している報告はない。また、Apollonノックダウン細胞で見られた別のBcl2ファミリータンパク質の切断様の発現変化についても新規の知見である。まだ詳細な分子機構は明らかにしていないが、小胞体ストレス時におけるApollonによる新たな分子制御を見出したという点で、順調に進行していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度新たに見出されたApollonノックダウン細胞で見られるBcl2ファミリータンパク質の発現増強や、切断様の変化の現象解明や分子機構解明を行う。Apollonはユビキチンライゲース活性を持つタンパク質であることから、発現上昇した分子に関してはユビキチン化を焦点において解明を進める。また、切断様の変化を示した分子に関しては、いくつかのBcl2ファミリータンパク質はcaspaseで切断されることで活性化することが知られているので、これを焦点に解明を進める。昨年度見出された小胞体ストレスによるApollonタンパク質の発現低下の分子機構についても引き続き解明を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度以降に繰り越しされる研究費が生じた理由としては、本年度の研究が概ね順調に進展したことから無駄な物品費がかからなかったことが挙げられる。 繰り越し研究費は、本年度の研究の進展から推測される次年度以降の研究の性質を考えると物品費が多くかかることが予測されることから、物品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)