2011 Fiscal Year Research-status Report
CERTとVAPの相互作用を制御するメカニズムの解明
Project/Area Number |
23790118
|
Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
熊谷 圭悟 国立感染症研究所, 細胞化学部, 主任研究官 (40443105)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | CERT / セラミド / スフィンゴミエリン / VAP |
Research Abstract |
セラミド輸送タンパク質CERTはN末にPHドメイン、C末にSTARTドメインを有し、それ意外の領域(中間領域)はセラミド輸送活性の制御等に関与していると考えられている。 これまでに申請者らは、その中間領域の一部(SR 領域)が多重リン酸化されるとCERTのセラミド輸送活性が不活性な状態になり、SR領域がリン酸化されないとCERTは活性化状態になること等を報告してきた。 しかしながら、SR領域に関する研究の過程で、他のリン酸化サイト(領域 X)による活性制御もあるのではないかと推測される研究結果を得ていた。 そこで、本研究ではSR領域とは異なるもう一つのリン酸化による制御機構の解明を目指した。 平成23年度期間中には、この領域Xのリン酸化がCERTのセラミド輸送活性に与える影響について検討を行った。 まず最初に、領域Xが通常の培養細胞条件下においてもリン酸化されていることを確認した。 また、領域 Xのリン酸化によって、CERTとVAPの結合性が高まることを明らかにした。 また、この時、細胞内でのセラミド輸送活性が大幅に増強されることも明らかになった。 領域 Xのリン酸化によるセラミド輸送活性促進効果は、SR 領域を脱リン酸化させた時と匹敵する程の変動があり、領域 Xのリン酸化修飾もSR 領域同様、CERTの活性制御に重要な役割を果たしていると考えられた。 また、領域Xのリン酸化修飾によって、CERTの細胞内局在に変化があることも明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目的1:CERTの領域 Xのリン酸化がセラミド輸送に与える影響、に関する解析は概ね順調である。 リン酸化の確認、VAPとの結合性、アイソトープを用いたセラミド輸送活性の測定等、申請時の目標までは達成したものと判断している。 実際に解析を進めていくと、論理的に論文を展開するために必要とされる実験が予想以上に発生し、現在これらの問題に対処している。目的2:領域 Xをリン酸化するキナーゼの同定、に関する解析はあまり進んでいない。 これは解析に必要な抗リン酸化抗体の反応性が著しく低下してきたために、実験に支障が出たことが主因である。 平成23年度期間中に抗体の再生産を決め、現在、業者に委託生産中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
CERTの領域 Xのリン酸化がセラミド輸送活性に与える影響に関しては、論文をより論理的に展開するために必要な実験を引き続き行う。 様々なコンストラクトを作製し、それらに対して幾つかの測定系、観察系を用いて解析を行っていく。 申請段階では、平成24年度はキナーゼの同定を主な目標として掲げていたが、キナーゼの同定よりも、領域Xのリン酸化がセラミド輸送活性に与える影響について確実に証明することを優先する。 キナーゼの同定はうまくいかない場合も想定されるため、平成24年度期間中にキナーゼに言及しない形で論文投稿することを目標にする。 また、現在作製委託中の抗リン酸化抗体が、これまで使用してきた抗体と同等以上の性能を有していた場合は、キナーゼ同定に向けた取り組みを再開する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰り越し額492,617円のうち397,005円は再生産することになった抗リン酸化抗体の作製に支払われる。その他の研究費の使用計画については、現段階では申請時に記述した平成24年度の明細から大きく逸脱する予定はない。
|
Research Products
(1 results)