2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂質栄養状態を制御する分泌性ホスホリパーゼA2の新しいパラダイム
Project/Area Number |
23790120
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Research Institution | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
Principal Investigator |
佐藤 弘泰 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 研究員 (50546629)
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Keywords | メタボリックシンドローム / ホスホリパーゼA2 |
Research Abstract |
肥満、インスリン抵抗性などのメタボリックシンドロームは脂質代謝異常や慢性炎症に起因する。我々は肥満マウスのマイクロアレイ解析により、二種の分泌性ホスホリパーゼA2 (sPLA2-V, IIE)が脂肪細胞に著しく発現誘導されることを見出した。高脂肪食 (HFD)負荷したsPLA2-V 欠損マウスでは肥満、インスリン抵抗性、脂肪肝、高脂血症が増悪し、一方脂肪組織特異的sPLA2-V過剰発現マウスでは脂肪の蓄積が抑制された。sPLA2-Vは脂質運搬に関わるリポタンパク質(LDL)中のホスファチジルコリンを分解して高脂血症を改善し、さらにTh2優位の免疫応答を促進して脂肪組織の炎症を抑制することで、メタボリックシンドロームに対して防御的に作用することがわかった。これに対し、HFD負荷sPLA2-IIE欠損マウスでは内臓脂肪の蓄積、脂肪肝、高脂血症が抑制された。sPLA2-IIEはリポタンパク質の微量リン脂質 (ホスファチジルエタノールアミン, ホスファチジルセリン)を選択的に分解することによりその性質を変化させ、組織への脂肪蓄積を促進するものと考えられた。以上より、sPLA2-VとsPLA2-IIEは過栄養により脂肪細胞に誘導され、全身の代謝状態を制御する「metabolic sPLA2」であることが明らかとなった。ヒト脂肪組織のsPLA2-Vの発現とBMIおよび血漿LDLレベルが逆相関を示すことから、sPLA2-Vはメタボリックシンドロームの新しい診断マーカーとして期待される。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Murakami M. PLA2G5, a sectered phospholipase A2 induced in hypertrophic adipocytes, regulates systemic lipid metabolism and obesity.
Author(s)
Sato H, Taketomi Y, Kojima T, Ushida A, Yamamoto K, Ikeda K, Hara S, Miyata K, Oike Y, Murakami M.
Organizer
IEIIS2012
Place of Presentation
東京
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