2013 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド型アセトゲニン類の実用化を目指した構造活性相関研究
Project/Area Number |
23790130
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小島 直人 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (90420413)
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Keywords | 抗がん剤 / 有機合成化学 / 構造活性相関研究 / 生物活性物質 |
Research Abstract |
日本人の死因の第一位である「がん」の有効な治療法の開発は薬学研究者にとって極めて重要な研究課題の一つである。外科手術や放射線治療と並んで、化学療法剤による治療は古くから実用化されている治療法の一つであるが、重篤な副作用の問題など、未だ画期的な治療薬は存在しないのが現状である。 研究代表者らは、バンレイシ科アセトゲニン類と呼ばれる熱帯・亜熱帯産植物から単離されるポリケチドをシードとする新規抗腫瘍活性物質の探索研究に取り組んできた。その結果、アセトゲニン類由来のテトラヒドロフラン環部位と呼吸鎖阻害系殺虫剤の複素環部位とのハイブリッド型分子が極めて強力な抗腫瘍活性を示すことを見出している。本化合物は次世代の抗がん剤候補として極めて魅力的な化合物であるが、更なる開発のためには、その作用メカニズムを明らかにすることが不可欠である。 研究代表者らは、昨年度までにリード化合物の細胞内動態の調査に必要なバイオプローブとして、分子末端に蛍光標識基を有する分子を設計し、その量的合成に成功している。平成25年度は、合成したプローブを用いて、その細胞内動態の調査を行った。その結果、蛍光標識化プローブの局在部位は、ミトコンドリアを特異的に染色するMitoTracker Redによる染色とほぼ一致した。このことから、研究代表者らが見出した抗がんリード化合物の作用部位はミトコンドリアであることが強く示唆される。また、リード化合物の標的タンパク質を単離同定することを目的に、担体に担持可能な分子末端に1級アミノ基を持つ誘導体を、昨年度確立した合成経路により合成し、アフィニティカラムクロマトグラフィーに必要な量の確保に成功した。
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