2012 Fiscal Year Research-status Report
量子ドット標識による高感度蛍光プローブの簡便合成法の開発
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23790131
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 健司 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (20531817)
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Keywords | 蛍光プローブ / 蛍光イメージング / ボンクレキン酸 |
Research Abstract |
蛍光標識化した生体作用分子(蛍光プローブ)を用いた蛍光イメージング研究は、創薬研究や生命科学の発展に大きく貢献しているが、高感度で特異性の高い蛍光プローブの創製は容易ではない。本研究では、申請者が独自に開発した量子ドット標識法を活用し、高感度蛍光プローブ合成法としての有用性および実用性を検証することにより、本法の確立を目指す。今年度は、昨年度に引き続き、ボンクレキン酸(BKA)の蛍光標識化を目的に、ボンクレキン酸の構造活性相関研究を行った。 1.メチル基と二重結合部位を除去した合成容易なセグメントBを設計し、BKAの収束型全合成戦略を活用してBKA誘導体を合成した。アポトーシス阻害試験による活性評価を行った結果、BKAと同等の阻害活性を示すことを見出した。このBKA誘導体は、BKAに比べて10工程以上短縮して合成することができ、また精製操作も容易であることから入手容易なBKAの代替化合物として期待出来る。 2.BKAの構造をさらに単純化した炭素鎖を有するトリカルボン酸誘導体を設計し、異なる炭素鎖長を有する誘導体を数種類合成した。アポトーシス阻害活性を評価した結果、炭素鎖の長さにより阻害活性が変化し、BKAと同じ長さの炭素鎖を有するトリカルボン酸誘導体が最も強いアポトーシス阻害活性を示す事が分かった。今後蛍光プローブを合成するうえで非常に有効な研究成果を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、申請者が独自に開発した量子ドット標識法を活用し、高感度蛍光プローブの合成法としての有用性および実用性を一つ一つ検証する事により本法の確立を目指している。初年度は、ミトコンドリア内膜タンパク質阻害剤であるボンクレキン酸の蛍光標識化を目的に、ボンクレキン酸の構造活性相関研究を検討した。今年度は、引き続き構造活性相関研究に取り組み、分子構造を簡略化したトリカルボン酸誘導体がアポトーシス阻害活性を示す事を新たに見出した。本成果は、アポトーシス阻害活性を保持した蛍光標識ボンクレキン酸の合成を実現する上で大きな進展と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られた成果を基にして、ボンクレキン酸の構造活性相関研究をさらに精査するとともに蛍光標識化への展開を検討する。本年度は、昨年度同様に効率的に実験消耗品を用いた結果、研究費を節約でき繰越しが生じた。交付内定時に申請計画から減額されたが、本繰越金で補填することで当初予定通りの研究計画を遂行できると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は実験消耗品などを効率的に使用した結果、研究費を節約することができ繰越が生じた。繰越金を踏まえ、次年度は以下に示す使用計画で研究を実施する。 消耗品費 : 88万円 国内旅費 : 10万円 機器修繕費: 10万円 総額 :108万円
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