2011 Fiscal Year Research-status Report
生理活性オリゴペプチドを認識する螺旋形ナノチューブの創製
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23790132
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
福留 誠 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (00336182)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | cyclodextrin |
Research Abstract |
γ-シクロデキストリン(CD)一級水酸基の一箇所をアジド基で置換しモノアジドγ-CDを合成した。次に4,4’-ビフェノールの一つの水酸基をプロパルギル化し、この導入したプロパルギル基のアルキンと、モノアジドγ-CDのアジド基とのヒュスゲン環化反応による連結反応を検討した。その結果、γ-CD空洞内にビフェノール部位が自己抱接された生成物と自己抱接されていない生成物が生じている事がわかった。水中及びDMF中において90℃24時間の反応を行うと、それぞれの溶媒条件において自己抱接型と非自己抱接型の生成物が生じるが、その比率に有意な差があることがわかった。すなわち、水中においては自己抱接型の方が多く生成し(67:23)、DMF中においては非自己抱接型の方が多く生成した(69:23)。以上の結果は、CD二量体の合成においてリンカー部位を導入する際に有用な知見である。もし、リンカー部位が自己抱接されてしまうと目的とする二量体の合成が達成されないと考えられるからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、γ-シクロデキストリン(CD)及びα-CDの一級水酸基側ジアジド置換体の合成、さらにそれらを利用した二重架橋 CD 二量体の合成を企図していたが、所属機関の変更により研究環境が大きく変化したことが主要因となり、十分な達成度に到達していないと考えられる。現在、モノアジド置換体へのリンカー導入条件の検討段階において、リンカー部位がCD空洞内に自己抱接されることが確認されており、自己抱接反応を回避するような反応条件を見出すことが、望む新規ホスト分子の合成に必要であることがわかっている。このように乗り越えるべき課題が明確となり、新しい研究環境にも慣れてきたので、今後は順調に研究目的を達成していけると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
A,D-ジアジド-α-CD および A,E-ジアジド-γ-CD を合成する。これらのジアジド-CD と末端にプロパルギル基をもつリンカー分子とをヒュスゲン環化反応により連結し望む二重架橋CD二量体の合成を検討する。また、A,D-ジアジド-α-CD および A,E-ジアジド-γ-CDにトリフェニルホスフィンを反応させジアミノ-CDへと変換する。このようにしてCD 一級水酸基側の二か所にアミノ基を導入した CD を調整する。CD 同士を連結するリンカーとして、柔軟性をもった長鎖アルキル鎖(あるいはポリオキシエチレン鎖)の両末端にアルデヒド基をもったもの(市販あるいは必要に応じて合成したもの)を利用し、CD 及びリンカーに導入したアミノ基とアルデヒド基を還元的アミノ化反応により連結する。以上のようにして望む CD 二量体ホスト分子を調製する。リンカー部位を結合する過程においてリンカー部位をCD空洞内に自己抱接したものが生成しうることが分かっているので、反応溶媒の極性を下げる等の対策を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
所属研究機関の変更に伴い、当該研究に投資できる時間的余裕が減少したため、一部予算の執行を次年度以降に先送りすることとした。次年度は、試薬・有機溶媒その他の消耗品の購入、予定される3つの国内学会への参加費用、及び発表を予定する論文の英文校正等の費用として予算を使用する計画である。
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Research Products
(8 results)