2011 Fiscal Year Research-status Report
天然リガンドを起点とした高効率機能抗体作製法の開発
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23790136
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中西 猛 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20422074)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 抗体 / ペプチド移植 / タンパク質工学 / 受容体 / 分子認識 / リガンド |
Research Abstract |
本研究では抗体可変領域に対してタンパク質性リガンド由来のペプチド断片を導入することによって、アンタゴニストあるいはアゴニスト活性など生物機能を有する抗体を高い確実性で構築する手法の確立を目指している。本年度は以下の研究成果を得た。(1)立体構造情報に基づくペプチド断片移植抗体の設計:上皮増殖因子(EGF)とEGF受容体(EGFR)の複合体結晶構造に基づき、タンパク質間相互作用に関与するEGF由来ペプチド断片を選定した。ヒト抗体の相補性決定領域にEGF由来ペプチド断片を挿入した配列を複数種作製し、各々の構造モデルを基に詳細なペプチド導入箇所を決定した。 (2)ペプチド断片移植抗体の発現・調製系の構築:ペプチド断片移植抗体の大腸菌分泌発現ベクターを作製し、可溶性タンパク質として発現・調製系の構築を試みたところ、発現タンパク質の大部分が不溶性であった。現在、巻き戻し系の検討を進めている。一方、動物細胞発現系による調製も試みた。HEK293細胞を用いて、大腸菌の場合と同様に分泌発現させたところ、ペプチド断片移植抗体を可溶性タンパク質として得ることができた。また、足場タンパク質として用いたヒト抗体に比べて発現低下はあまり見られなかった。 (3) ペプチド断片移植抗体の抗原結合活性の評価:フローサイトメトリーによりEGFR陽性細胞に対する結合活性を評価したが、結合を観測できなかった。EGF断片を導入したため結合活性の低下が予測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ペプチド断片移植抗体の発現・調製系の構築において、当初想定していた以上に多くの研究期間を必要としたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画より研究が遅れているため、本年度に構築した発現系を用いて組換え抗体を調製・評価し、ライブラリー作製に用いる候補配列を迅速に決定する。本年度の研究結果から、ペプチド断片移植抗体のファージ提示系構築は困難であることが予想されるため、動物細胞表面上への抗体提示も合わせて検討する。当初計画では、次年度にペプチド移植抗体の大量調製を行う予定であるが、各種評価に用いるクローン数を絞り込む必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画より研究が遅れているため、次年度の研究費の一部を制限酵素、DNAシークエンスキットなどの試薬類やプラスチック製品など各種遺伝子操作に必要な消耗品の購入費用に充てる。当初、微生物発現系を用いて大量調製を行う計画であったが、動物細胞発現系を用いる予定であるため、培地、血清など動物細胞の培養に必要な消耗品を購入する予定である。一方で各種評価を行うクローン数を減らし、当初計画で計上した微生物培地、カラム樹脂など大量調製に必要なコストを抑える。また、本研究課題で得られた成果に関する学会発表、原著論文の発表などを行うための費用として用いる予定である。
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Research Products
(9 results)