2012 Fiscal Year Annual Research Report
アノマー位アルキル置換イミノ糖の不斉触媒的合成とその生物活性評価
Project/Area Number |
23790138
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
名取 良浩 東北薬科大学, 薬学部, 助教 (50584455)
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Keywords | イミノ糖 / 創薬化学 / α-グルコシダーゼ阻害作用 / 糖尿病治療薬 / 触媒的不斉合成 |
Research Abstract |
研究の目的は、「窒素以外の位置に側鎖を導入したイミノ糖誘導体の合成方法を開発し、ライブラリー構築を可能にすることで糖鎖関連酵素の阻害作用に関する構造活性相関を検討し、創薬科学研究を行う。」である。研究実施計画では、イミノ糖の合成は、 1) 不斉アリル位アミノ化反応と閉環メタセシスでピロリジン環構築、2) アリル炭酸エステルの立体選択的環化反応でピロリジン環構築という二経路を提案した。申請者は、糖尿病治療薬開発を目指し、2種の合成経路から得たイミノ糖誘導体のα-グルコシダーゼ阻害活性評価を行った。 経路1では、計画に沿ってC1位にアルキル基を導入したD-およびL-アラビノース型のイミノフラノースを合成できた。C1位の置換基を導入後、短工程でイミノ糖を合成できるため、多くのイミノ糖誘導体の酵素阻害活性の測定が可能であった。その結果、D糖よりもL糖の方が強力な酵素阻害作用を示し、特にC1位にn-ブチル基をもつL-アラビノイミノフラノースは、in vitroにおいて市販のα-グルコシダーゼ阻害薬と同等以上の活性をもつことが判明した。また、in vivoでの酵素阻害活性評価を行った結果、1-ブチル-L-アラビノイミノフラノースは、ミグリトールと比較して低容量で効果を示した。本研究により得られた結果をまとめて、学会発表や学術論文の投稿を行った。発表した論文の一報 (J. Med. Chem. 2012, 55, 10347.)は、Featured Articleに選出され、大きな反響があった。 経路2では、C2位に水酸基のないイミノ糖の合成が可能であった。1-ブチルL-アラビノイミノフラノースの2-デオキシ体を調製し、その酵素阻害作用を測定した。その結果、酵素阻害作用は減弱し、C2位の水酸基が活性発現に重要であることが判明した。興味深い知見が得られたため、学会発表や学術論文の投稿を行った。
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Research Products
(16 results)