2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790139
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
根本 徹 北里大学, 薬学部, 助教 (40458766)
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Keywords | 医薬分子設計 / オピオイド / δ受容体 / 作動薬 / 生物活性物質 |
Research Abstract |
本研究は、オピオイドδ受容体の詳細な役割の解明を目的として、in vivoにおいて高選択的で高活性なδ作動薬の合成を試みており、δ受容体高選択性及び強い鎮痛作用を有するKNT-127の構造を基に、さらなる活性向上を目指し、KNT-127の構造活性相関研究を行った。まず、昨年度に引き続き、δ作動活性に必要なキノリン環の窒素原子の最適な位置を検討するため、キノリン環窒素原子がモルヒナン骨格の7位に結合した新規誘導体を合成した。次に、モルヒナン骨格自体の変換を行い、ベンゼン環をシクロヘキセン環に変換した誘導体や、ベンゼン環を除去したデカヒドロイソキノリン誘導体を合成した。また、昨年度得られたデータを基に、オピオイド受容体結合能に大きく関与する17位窒素置換基の変換を行った。これら得られた化合物の受容体結合能および作動活性を評価したところ、KNT-127の17位に3-エトキシプロピル基を有する誘導体が本研究で最も選択的で強力なδ作動活性を示した。本化合物を含め、これまでに、in vitroでKNT-127と同程度以上のδ選択性及び作動活性を示した化合物が複数得られたため、良好なプロファイルを有する化合物について、酢酸ライジング試験により鎮痛活性を評価した。その結果、KNT-127の活性を大きく超えるものは現在のところ得られていないが、多くの化合物が鎮痛活性を示した。一方、δ作動薬の副作用で問題となる鎮静や痙攣を示さずに、鎮痛作用を示す化合物が見出されたため、今後、これらの化合物に対し、抗鬱作用等のδ受容体の鎮痛以外の作用を検討する。また、本研究では、高選択的δ作動活性を示すために必要な構造情報(17位置換基、キノリン環置換基等)を非常に多く得ることができた。本知見は、今後の高活性なδ受容体作動薬の合成及び、その後のδ受容体の役割の解明にとって有意義なものである。
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