2012 Fiscal Year Annual Research Report
Complex2選択的阻害剤atpeninA5を基盤とする新規抗寄生虫薬の創製
Project/Area Number |
23790140
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大多和 正樹 北里大学, 薬学部, 助教 (70453503)
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Keywords | 構造活性相関 / 天然有機化合物 / 創薬化学 / complex II |
Research Abstract |
申請者は、達成したcomplex II選択的阻害剤atpenin A5の全合成経路を利用し、寄生虫選択性向上を目指した誘導体の設計ならびに合成を順次行い、最終的に従来とは異なる作用機序を有する新規抗寄生虫薬の創製を目指した。まず atpenin A5 の2 位を足がかりとし、寄生虫選択性向上を目指した構造活性相関を行った。2位に立体的に性質の異なるイソプロピルオキシ基ならびにシクロへキシルオキシ基等を導入した誘導体群の合成を達成し、その活性を評価したがその活性は大きく低下した。従って2位の官能基変換は不適切であることが明らかとなった。 続いて、側鎖に存在する2つのメチル基とクロル基の重要性を精査することとした。即ち、それぞれの2',4位メチル基と5',6'位クロル基を除去した誘導体、またメチル基とクロル基の立体化学をそれぞれ反転させた立体異性体を設計し、合成することとした。これらの誘導体もatpenin A5の全合成経路を応用することで効率的に合成することができた。合成した誘導体のcomplex II阻害活性を評価したところ、側鎖メチル基ならびにクロル基の存在は活性発現に必須であることが明らかとなった。また立体化学については、2'位のメチル基については本来の立体化学が活性発現に必須であったものの、4'位5'位については立体を反転させてもその活性を維持するという興味深い結果を得た。このように本研究では、atpenin A5の側鎖部を中心とした構造活性相関を明らかにすることができた。今後は側鎖の4'位5'位を中心に構造変換を行い、寄生虫選択性向上を目指したatpenin A5の誘導体合成を進めていきたいと考えている。
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