2011 Fiscal Year Research-status Report
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23790146
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
井本 修平 崇城大学, 薬学部, 講師 (20447189)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 人工核酸 / RNA修飾 / クロスリンク |
Research Abstract |
RNAはその鋳型であるゲノムDNAから転写された後、さまざまな構造修飾を受けて成熟し、はじめて本来の機能を発揮する。 RNAを自在に化学修飾することが可能になれば、mRNAおよびncRNAの機能制御や解明ができると考えられる。そこで本研究では、反応点を厳密に制御したRNAの化学修飾法の開発を目指している。RNAを標的としたピンポイント化学修飾を達成するために、(1)2-Amino-6-vinyl purine(AVP)による標的シトシン塩基との架橋反応、(2)光照射により脱塩基を起こすケージド核酸、を基盤技術とし、光照射によって架橋反応性を有する核酸塩基部位が脱離するcaged-AVPを設計した。 本研究の目標であるRNAの特異的修飾を達成するためには、反応の第一段階であるAVPによる標的RNAへの架橋反応を効率よく行う必要がある。しかし、予備検討を行ったところ、AVPのRNAへの架橋収率反応は前後配列の影響を受け、必ずしも高くないことが示唆された。そこで、RNAへのより効率的な架橋反応を達成するために構造最適化を行うこととし、2位アミノ基を持たない6-vinylpurine(VP)を設計した。VPをDNAに組み込むために必要となるアミダイトユニットは2’-deoxyadenosineから7ステップで合成し、DNA自動合成装置にてVPを含むオリゴヌクレオチドの合成に成功した。VPを組み込んだDNAと標的RNAとの架橋反応を評価したところ、14時間で60%程度と従来型のAVPよりも良好な収率で進行することが明らかとなった。このように本年度は、従来よりも効率的な新規架橋反応性人工核酸を見出すことに成功した。そこで、光照射によってVPが糖部から脱離するcaged-VPによるRNA修飾を行うこととし、現在アミダイトユニットの合成が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は従来の架橋反応性核酸である2-amino-6-vinylpurineよりも架橋反応性が高い6-vinylpurineを見出すことができた。標的RNAを精密修飾する人工核酸ツールであるcaged-VPのアミダイトユニットの合成には至っていないが、標的への修飾を達成するためには最初の段階である架橋反応収率が重要であり、本年度中にこの問題を概ね解決することが出来たことは大きな進展であると考えている。また、申請者が所属する研究室にはオリゴヌクレオチドを取り扱える環境が十分整っていなかったが、本年度にVPを組み込んだオリゴヌクレオチドの合成、精製さらにはポリアクリルアミドゲルによる架橋反応評価を行なったことで、次年度の研究がスムーズに行える状況が整ったことは意義深い。これらの状況と、caged-VPの合成も順調に進んでいることから、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAの精密化学修飾を行う人工核酸ツールであるcaged-VPをオリゴヌクレオチドに組み込むために必要となるアミダイトユニットの合成を行い、架橋反応と光照射による標的塩基の化学修飾を確認する。修飾構造の確認は、ホスホジエステラーゼによりヌクレオシドレベルに分解した後に、NMRを測定し確実な構造決定を目指す。また、上記項目で確立するRNA塩基の特異的修飾反応を適用すれば、ncRNAやmRNAの機能を人工的に制御できる可能がある。そこで、細胞抽出液を用いた試験管内でのルシフェラーゼ発現系における、mRNA配列中のシトシンを標的とした修飾を行ない、翻訳に及ぼす影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に申請者が所属する研究室でオリゴヌクレオチドの合成、分離および精製、さらにはポリアクリルアミドゲル電気泳動を行う実験環境を整えることができた。次年度以降はこれらの実験をルーチンワークとしてスムーズに行うことが可能となっている。次年度は目的とするアミダイトユニットの合成が最優先課題であり、主に試薬の購入費用としての使用を見込んでいる。
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Research Products
(6 results)