2012 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞による抗腫瘍活性を誘導する新規糖脂質の創製研究
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23790148
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田代 卓哉 独立行政法人理化学研究所, 免疫制御研究グループ, 研究員 (20339104)
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Keywords | ナチュラルキラーT細胞 / インターフェロンガンマ / スフィンゴ糖脂質 / サイトカイン / 構造活性相関 / α-GalCer / CD1d / T細胞受容体 |
Research Abstract |
α-GalCerはスフィンゴ糖脂質の一種であり、ナチュラルキラーT(NKT)細胞を活性化して多量のインターフェロン(IFN)-γの産生を誘導し、抗腫瘍活性を示す。構造活性相関研究を通して、より高活性な新規糖脂質の開発研究を行った。 研究代表者らはこれまでに、α-GalCerのガラクトース部位の6-位水酸基を低極性官能基へと修飾した類縁体は、マウスならびにヒトの系において多量のIFN-γを産生誘導することを見出している。一方で、この水酸基は糖脂質の水への溶解性への寄与が大きく、低極性官能基への修飾は糖脂質の溶解性を著しく低下させることが明らかとなった。そこでポリエーテル鎖の導入により溶解性を高めながら、水酸基よりも低極性である官能基へと変換し、活性を調査した。 6-位水酸基をメトキシメチル基へと変換した類縁体は、α-GalCerと同程度の溶解性でありながら約2倍の活性を示すことを見出した。これ以上の鎖長の官能基、例えばメトキシエトキシメチル基やヒドロキシエトキシ基などの導入はIFN-γ産生誘導活性を低下させ、むしろ免疫抑制に関与するサイトカイン(IL-4など)の産生を誘導した。 低極性官能基をガラクトース6-位に導入したスフィンゴ糖脂質の投与方法についても検討を行った。現時点では理由は明らかではないものの、界面活性剤の添加は活性を低下させた。合成糖脂質を用いて活性化した樹状細胞を投与した際には、再現性良く多量のIFN-γ産生を誘導することが明らかとなった。 スフィンゴ糖脂質のの提示タンパク質であるCD1d、NKT細胞のT細胞受容体(TCR)、そして合成糖脂質RCAI-61の三体複合体のドッキングモデルの算出ならびにMDシミュレーションを解析し、RCAI-61はα-GalCerよりも両タンパク質と強固に結合して複合体を安定化させることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)