2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ハイルマニイ感染による胃MALTリンパ腫形成機構の解明と治療効果
Project/Area Number |
23790155
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 哲史 北里大学, 薬学部, 助教 (40449004)
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Keywords | 微生物 / ヘリコバクター / ハイルマニイ / MALTリンパ腫 |
Research Abstract |
本研究では、H. heilmannii感染による胃粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)リンパ腫発症の分子機構の役割を明らかとすることを目的とし、H. heilmannii感染マウスの胃粘膜における遺伝子発現について、マイクロアレイを用いた網羅的解析を行った。マイクロアレイにより発現変動の認められた遺伝子についてKEGGのパスウェイを行った結果、H. heilmannii感染野生型マウスの胃粘膜において、CD86およびCD28を最上流とするB細胞活性化シグナル遺伝子の発現上昇が認められた。さらに、本菌感染マウスに対し、アモキシシリン(15 mg/Kg)、クラリスロマイシン(50 mg/Kg)、ランソプラゾール(50 mg/Kg)を1日2回、7日間経口投与し、最終投与1ヶ月後のマウス胃粘膜について、組織学的解析および宿主遺伝子発現解析を行った。その結果、除菌処置マウスにおける菌の消失、ならびに胃MALTリンパ腫を形成するB細胞の減少も認められた。さらにこれら除菌処置マウスでは、菌感染により誘導されるCD86およびCD28の遺伝子発現誘導が、有意に抑制されていた。 H. heilmannii感染野生型マウスの胃粘膜中のリンパ球について、フローサイトメトリー解析を行った結果、菌感染により誘導されるCD86の発現は、B細胞と共にT細胞においても認められた。CD86陽性T細胞について更に解析した結果、これら細胞の多くがCD86シグナル抑制系のCD152に対して陰性を示した。 本研究によりH. heilmannii感染胃粘膜では、CD86を上流とする遺伝子シグナルが抗原依存的に異常活性化され、これら強固な炎症反応により胃MALTリンパ腫の病態が形成されることが示唆された。また、本病態に対する除菌療法の有用性が示唆された。
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[Presentation] Induced expression of CD86 in gastric MALT lymphoma by Helicobacter heilmannii infection
Author(s)
Takahashi, T., Matsui, H., Takizawa, A.,Takahashi, S.,Hibi T., Nakamura, M., Tsuchimoto, K.
Organizer
Digestive Disease Week 2009
Place of Presentation
San Diego, USA
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