2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23790167
|
Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
小林 弥生 独立行政法人国立環境研究所, 環境健康研究センター, 主任研究員 (00391102)
|
Keywords | ヒ素 / 腸内細菌 / 代謝 / HPLC-ICP-MS / LC-MS |
Research Abstract |
中国、インド、バングラディッシュなどにおいて、高濃度のヒ素が地下水に混入し、それを生活用水として利用している住民に深刻な被害を与えているが、その毒性発現機構は未だに明らかにされていない。腸内細菌叢は、宿主の老化、アレルギー、免疫、感染や発癌に密接に関連していると言われていることから、哺乳類におけるヒ素化合物の代謝を考える際に、腸内細菌による代謝も考慮に入れる必要がある。本研究では、腸内細菌によるヒ素の代謝を化学形態別分析によって明らかにし、ヒ素化合物の吸収および排泄に関する腸内細菌の役割について明らかにすることを目的としている。 腸内細菌によるヒ素の代謝を考察する上で、食物に含まれる有機ヒ素化合物の代謝を明らかにすることは重要である。そこで、海産物由来の有機ヒ素化合物をラットに経口投与し、ヒ素の体内動態を調べた。アルセノコリンは、体内で酸化されてアルセノベタインとして主に尿中排泄されることが知られているが、糞抽出物のヒ素の化学形態別分析を行ったところ、主要なヒ素化合物はアルセノベタインではなく、未知ヒ素化合物であることが分かった。また、糞中の未知ヒ素化合物とアルセノベタインの排泄率には個体差がみられた。このことから、アルセノコリンの一部も腸内細菌によって代謝される可能性が示唆された。アルセノコリン投与時のヒ素の糞中排泄濃度が低い為、この未知ヒ素化合物の同定は出来ていないが、糞抽出物を熱および過酸化水素処理した後も、未知ヒ素化合物は分解さず、比較的安定な化合物であることが推定された。
|
Research Products
(1 results)