2011 Fiscal Year Research-status Report
腎臓特異的有機アニオントランスポーターSLCO4C1の輸送特性解析
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23790168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山口 浩明 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80400373)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | トランスポーター / 腎臓 / 異物排泄 |
Research Abstract |
SLCO4C1は、強心配糖体、甲状腺ホルモン、メトトレキサートなどの輸送に関わる腎臓特異的に発現する有機アニオントランスポーターである。近年、SLCO4C1トランスジェニックラットを用いた検討結果で、SLCO4C1が尿毒症物質の排泄に関与し、血圧上昇を抑える可能性が示唆されている。しかしながら、SLCO4C1の機能解析はあまり進んでおらず、薬物動態学的意義あるいは病態生理学的意義の解明に結びつく直接のエビデンスが欠如している。そこで本研究では、SLCO4C1の新規輸送基質の探索や輸送メカニズムに関する詳細な輸送特性解析を進めている。 これまでに、種々の尿毒症物質がSLCO4C1の輸送基質となることが推察されていることに関して、それら化合物のSLCO4C1発現細胞における取り込みを評価することとした。候補化合物は、RI化合物として提供されていないものが多いため、細胞内に取り込まれた化合物の測定は、HPLCあるいはLC/MS/MSを用いて行う必要がある。現在キノリン酸を含む数種の尿毒症物質について、LC/MS/MSによる評価系を構築中である。また、RI化合物が市販されているインドール-3-酢酸についての取り込み評価を行ったところ、SLCO4C1発現細胞における優位な取り込みが観察された。 以上の結果より、SLCO4C1は一部の尿毒症物質を輸送基質とすることが明らかとなった。今後、他の尿毒症物質の輸送について検討するとともに、腎尿細管における尿毒症物質の排泄に関わるSLCO4C1の寄与について検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SLCO4C1の機能解析に必須である発現系の輸送活性が不安定であり、発現系の再構築も同時に進めている。安定した発現系を使用することが可能になれば、平成23年度検討予定で進行が遅れていた同時基質輸送の検討や新規基質の探索の検討の遅れを取り戻すとともに、平成24年度計画にも支障をきたすことはないと考えている。 動物を用いた検討に関しても、現在構築している強心配糖体の測定系が確立した地点で、in vivoにおけるSlco4c1の関与に関する検討をすぐ行える状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、平成23年度に引き続きSLCO4C1の新規輸送基質の探索を行うとともに、さらに、SLCO4C1の輸送機能特性の詳細ついて検討する。 SLCO4C1変異導入細胞を用いた輸送機能解析やSlco4c1発現変動時における薬物動態評価を行い、SLCO4C1の薬物動態学的あるいは病態生理学的意義の解明を目指す。SLCO4C1変異導入細胞を用いた輸送機能解析については、データベースに登録されている変異または膜貫通部位に存在する酸性あるいは塩基性アミノ酸に変異を導入したSLCO4C1 cDNAコンストラクトを作成し、それらの発現細胞系にて輸送評価を行う。Slco4c1発現変動時における薬物動態評価は、これまでに腎障害モデルラットにおいてSlco4c1の発現が減少すること、またスタチン投与によって発現の上昇が認められていることから、これらのSlco4c1発現変動時における基質薬物(ジゴキシンなど)の体内動態解析を行う。腎取り込みクリアランスおよび腎クリアランス(あるいは腎クリアランス/全身クリアランス比)を評価し、Slco4c1発現量が基質薬物の体内動態に与える影響を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に実施した動物実験に必要であった消耗品の支払に使用する。
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Research Products
(10 results)